てっぺい

ゴーストバスターズ/フローズン・サマーのてっぺいのレビュー・感想・評価

4.0
【変温映画】
真夏のビーチが凍りつく不思議な映像美。数々のセルフオマージュや、往年のテーマソングも健在でシリーズファンには涙モノ。描かれる家族愛には逆に心がほっこり温まる。

◆トリビア
〇今作で初めて着用するゴーストバスターズのスーツについて、ゲイリーを演じたポール・ラッドは「この映画に携わることは、最初から最後まで「ここに自分がいて演じているなんて信じられない」という気持ちの連続でした。初めてあのスーツを着たときは夢みたいでワクワクしました。特別な経験でした。」と語る。(https://cinemore.jp/jp/news-feature/3413/article_p3.html)
〇スライマーがトレヴァーの身体を突き抜けて逃げようとするシーンでは、撮影時にフィン・ウルフハードに緑色の液体を噴射したというが「顔に当たるとミントの味がしました」とフィンはまさかの味付きスライムだったことを告白した。(https://www.cinemacafe.net/article/2024/03/31/90848.html)
○ゴーストバスターズの本拠地として描かれる「フック&ラダー・カンパニー8」は、実際にニューヨークに存在。大勢の市民の呼びかけで保存され、いまも現役で活動している消防署だという。(https://realsound.jp/movie/2024/04/post-1621114.html/amp)
○監督は「もしもう1作作れるほど幸運であったら、フィービー・スペングラーサーガを続ける準備万端です」と、次作があるならその主人公は一択である事を明かした。(https://news.livedoor.com/lite/article_detail/26154660/)
〇本作はコロンビア・ピクチャーズ100周年、シリーズ誕生から40周年という記念すべき節目の作品。(https://www.sonypictures.jp/corp/press/2024-03-25)
〇プロトンパック(バスターズが背負っているガジェット)の重量は40ポンド(約18キロ)。(https://theriver.jp/ghostbusters-more-sequel-plans/)
〇第1・2作の監督を務めたアイヴァン・ライトマンは、2022年に75歳で逝去。本作のラストでは彼をしのんで「for IVAN(アイヴァンに捧ぐ)」という言葉が映し出される。(https://otocoto.jp/column/ghostbusters0328/3/)
〇日本語吹替版はみ出しカバーソングを「新しい学校のリーダーズ」が担当。吹替版のエンドロールにそのMVが使用されたが、ファンから苦言が続出した。(https://news.livedoor.com/topics/detail/26167610/)
〇『ECTO-1』のポップコーンボックスが、日本ではTOHOシネマズのみで数量限定販売。(https://www.tohotheater.jp/campaign/ghostbusters-fs-pb.html)

◆概要
シリーズの第3作「ゴーストバスターズ アフターライフ」('21)の続編。
【原作】
ダン・エイクロイド&ハロルド・レイミス『ゴーストバスターズ』
【脚本】
ギル・キーナン、ジェイソン・ライトマン(前作の監督であり、第一作の監督を務めたアイヴァン・ライトマンの息子)
【監督】
「ポルターガイスト」ギル・キーナン
【出演】
「アントマン」シリーズ ポール・ラッド
「gifted/ギフテッド」マッケンナ・グレイス
「IT/イット」シリーズ フィン・ウルフハード
「ゴーン・ガール」キャリー・クーン
「エターナルズ」クメイル・ナンジアニ
「ゴーストバスターズ」ビル・マーレイ
「ゴーストバスターズ」ダン・エイクロイド
「ゴーストバスターズ」アーニー・ハドソン
「ゴーストバスターズ」アニー・ポッツ
「ゴーストバスターズ」ウィリアム・アザートン
〈吹替版キャスト〉
上白石萌歌、梶裕貴、高山みなみ、日笠陽子、朴璐美、木内秀信、玄田哲章、安原義人、菅原正志、安達忍、日笠陽子、森田順平、山口りゅう、西村太佑、長田庄平(チョコレートプラネット)、松尾駿(チョコレートプラネット)、本田真凜
〈日本語吹替版はみ出しカバーソング〉
新しい学校のリーダーズ
【公開】2024年3月29日
【上映時間】115分

◆ストーリー
真夏のニューヨーク。日差しが降り注ぐビーチで大勢の人々が海水浴を満喫するなか、海の向こう側から突如として巨大な氷柱が大量に現れ、街は一瞬にして氷に覆われてしまう。ゴーストバスターズとしてニューヨークの人々をゴーストたちから守ってきたスペングラー家は、その元凶が全てを一瞬で凍らせる「デス・チル」のパワーを持つ史上最強のゴーストであることを突き止め、事態を解決するべく立ち上がる。


◆以下ネタバレ


◆フローズン・サマー
“世界は氷で終わるという人もいる”というロバート・フロストの詩から始まる冒頭。ここに本作がその名の通り氷をテーマに描かれる事が記される。(思っていたよりだいぶ後半だったが)ビーチが凍りつき、氷柱が車を浮かせ突き刺さり、プロトンパックから打ち出すビームが凍らされ粉々に、氷の映像がまさに見もの。そんなエンターテイメントもしっかり見せつつ、本作のひとつの軸は、シリーズで本作が初となるゴーストとのふれあい。フィービーがチェスを通してメロディと心を通わせ、裏切りにあうも、“宇宙のどこかで”と別れた最期には思わず涙がにじむ。本作では特に旧バスターズと新バスターズがチームとなって活躍する姿が印象的で集大成感もある。これが、シリーズ1、2に比べればインパクトが薄いと捉えるか、このサイズ感が心地よいと捉えるか。自分は後者だった。

◆世代交代
第1作に見た、紙が次々に吹き飛ぶ映像や、図書館で静寂を促してくるゴースト。第2作で登場した自由の女神に触れるテレビのシーンもあれば、ゲイリーが往年のテーマソングを口にし、キャリーと掛け合う場面も。今作では市長も登場。そんな過去作へのセルフオマージュが至る所にありつつ、ウィンストンがレイモンドに壮年である事を諭すシーンも(それでも鼻息の荒いレイモンドも微笑ましかったが笑)。前作も本作も、主役は当然ながらフィービーとスペングラー一家。こと本作ではフィービーが新ガジェットを発明してしまう旧バスターズ越えの活躍。その“世代交代”感は、特に旧バスターズと同じ世代、つまり第1作をリアタイで見ていた世代には深く共感できるものだったのでは。

◆家族
思えば冒頭から家族4人で新バスターズをしっかり形成していたスペングラー一家。18歳になり、もう大人だと言い張るトレヴァーは、1人でスライマーにも立ち向かう。フィービーを叱ることに挑み、反発されるも、家族を守る事を何度も丁寧に説いたゲイリー。フィービーが最後に放った新ガジェットビームを家族で支えた姿に見る、家族の絆があたたかい。フィービーはフィービーで裏切りに傷つきながらも、その事で成長し、ゲイリーを呼び間違えたようにパパと呼んであげる可愛らしさ。そして爆裂喜ぶゲイリーの微笑ましさ笑。運転を任されるまでになったトレヴァーが転がす車を背に、NYの俯瞰に載せる“for IVAN”。1、2作の監督を務めた、つまりシリーズにとって父のような亡きアイヴァンに対する製作陣の思いがにじむようで、“家族”とその成長が描かれた本作としてこれ以上ないラストだった。ミッドロールのトラック強奪はポゼッサーの仕業か。ポッドキャストが“増殖する”と話していたように、次作があるとすれば、第1作と同級生の『グレムリン』的にミニマシュマロマン達の大増殖が見られるのか…?

◆関連作品
○「ゴーストバスターズ アフターライフ」('21)
前作でシリーズ第3作。亡くなったハロルド・ライミスがCGで登場。Netflix配信中。
○「ゴーストバスターズ」('84)
シリーズ第1作。ロゴやマシュマロマン、主題歌もいまだ鮮明に記憶に残る名作。Netflix配信中。

◆評価(2024年3月29日時点)
Filmarks:★×3.7
Yahoo!検索:★×3.6
映画.com:★×3.6

引用元
https://eiga.com/movie/100683/
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ゴーストバスターズ/フローズン・サマー/
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