おなべ

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのおなべのレビュー・感想・評価

3.8
◉コインランドリーと税金と、おいしいレストランとベーグル。

◉前評判の高さもあり、公開日の翌日に鑑賞。かなり楽しみにしていたため、予告編は1回目以降は観ないようにしていたのSA⭐︎

◉あらすじは割愛。第95回アカデミー賞にて、作品賞を含む7部門(主要6部門)で賞を獲得した作品。

◉気鋭のインディペンデント制作スタジオ「A24」作品。ここへ来てより一層斬新で外連味のある映像表現を見せてくれるあたり、益々今後の作品にも期待できる。低予算ながらも、監督らのアイデア・発想力と役者の好演によって実現した泣き笑いの傑作。

◉何が好感が持てるかって、賞を意識してない作品作り。“ダニエルズ”のコンビで知られる《ダニエル・クワン》《ダニエル・シャイナート》監督らの実体験を基にしながら、自分達が考える“面白い映像”を徹底的に追求した結果、それが結果的に評価されて栄冠を掴むことになるというストーリーが、映画人として好感が持てた。(※パンフレットによると、本作を製作するにあたり『マトリックス』や《ウォン・カーウァイ》監督作品に影響を受けたそう)

◉加えて、《キー・ホイ・クァン》のバックグラウンドと人柄も。青春傑作映画『グーニーズ』に出演後、移民として様々な困難にぶつかりながらも、役者以外にもスタントや助監督などを経て、役者に復帰後の助演男優賞という栄冠。第95回アカデミー賞の授賞式では、《ハリソン・フォード》との熱いハグと、それを温かく見守る《スピルバーグ》監督という構図が、とにかく胸に込み上げるものがあった(※過去に《スピルバーグ監督の『インディ・ジョーンズ』で共演経験)。

◉御歳94歳を迎える《ジェームズ・ホン》の授賞式でのスピーチも中々。作品に対する様々な想いが伝わって来て、込み上げるものがあった。

◉作品全体のテーマは、マルチバースという壮大なスケールで描くニヒリズムと家族愛。予告編を見た限りでは、ただのSFアクション映画かと思っていたけど、想像を超えるカオスな世界観・展開と胸熱な物語が待っていた。











【以下ネタバレ含む】












◉序盤〜中盤までは、この滅茶苦茶に散らかったカオティックなストーリー展開からどこに着地 & どうやって収束させるのだろう気になっていたけど、静と動を巧く使い分けながら、普遍的な家族愛というテーマに着地しており、その構成力に脱帽。何となく、前年度に作品賞を獲った『コーダ あいのうた』とも少なからず似通ってる部分があるなぁと感じた。

◉マルチバースへのジャンプシーンは言わずもがな、特に階段のラストバトルシーンで、皆んなの何気ない幸せがもはや大喜利で笑えた…。
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