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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスの96のネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

お勧めされて観に行くまでの間にアカデミー賞を総なめしていてハードル上がりまくったので、そうでもなかったらどうしよ〜と思ったけど杞憂だった。

ただ、脚本も演出もコメディセンス(指がソーセージとかディルドバトルとかお尻の穴に何かしらとか)もだいぶ癖が強いので好き嫌いが別れそうな作品ではある。A24好きな人なら問題ないはず。

そもそもマルチバース物は頭が混乱しやすいので、気になるシーンがあっても「もうこれについて深く考えるのはやめとこ」みたいな取捨選択を瞬間的にしていかないと置いていかれて楽しめなくなる気がしている。

序盤掴みに入るまでの流れがだるい上にしんどいので、え、これ大丈夫?ここから面白くなる?って不安になるけど、しょーもない旦那が急にスイッチ入ってかっこよくなっちゃうところから、え、なになに?なにが始まるの?とワクワクニヤニヤ、そこからはジェットコースター!

潰れそうな会社の税務処理と、頼りない旦那と、めんどくさい父親の介護と、反抗期の娘を抱えてピリピリイライラカリカリしているお母さんが世界を救うヒーローであり主人公ってところも面白いし(あんなイケてないファッションのヒーロー見たことないよ)、結構ギリギリまでやりたくない!知らない!って抵抗してるところもなんだかリアルでよかった(普通そんなあっさり受け入れられないよね)

マルチバースの中で1番最悪で最低な人生を歩んでるからこそ救世主になれるっていう設定も、なんかもうどんな顔して受け入れていいかわかんなくて最高だった😂この宇宙のエブリンが失敗すればするほど他の宇宙のエブリンは成功するってさあ…w(逆だったかな🤔

ウェイモンドはどの宇宙でもキャラがめちゃくちゃ違うんだけど、さすがの演技力…。ポーチヌンチャクかっこよかった!

ジョブ・トゥパキの衣装もヘアメイクもぜーーーんぶかわいい!!!最高!!!血がキラキラの紙吹雪?みたいな演出好き!
だんだん渡辺直美ちゃんに見えてくる、なぜ。
人生に意味なんてない、意味がないなら苦しみも悲しみもないっていうニヒリズムは若い人たちには刺さるんじゃないかな、どうかな…。
それでもやっぱなんだかんだいって理解してくれる人が欲しいもんだよね。

岩のシーンめちゃくちゃよかった。We're all small and stupid.よな。だからBe kind.でありたい。

最終的には暴力じゃなくて優しさという強さで戦うところが本当に本当によかった。

個人的にはエブリンとジョイの関係が1番刺さったというか、ジョイが羨ましくて嗚咽が止まらなかった…。私も自分の母親にあんなふうに言ってもらいたかった。

愛してる、一緒にいたいって素直に伝えたあとに、でもあなたの好きにしていいって言ったところがもう…人を愛する、尊重する、大切にするってこういうことだよね。
それを教えてくれたのはウェイモンドで、エブリンは親子の確執の連鎖も断ち切ることができた。

犬のシーンだけは楽しめなかった😔

人生、愛、家族、親子、優しさ、強さ
マルチバースという途方もなく大きな話かと思いきや、大事にするべきなのは目の前にいる人間に対する思いやりだよねという、とってもミニマムだけど重要で忘れがちなことが描かれていてすごくよかった。
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