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すずめの戸締まりのreliableFilmManのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.0
「君の名は。」、「天気の子」とは違った雰囲気。実世界の話が混ざったストーリー展開は今までにない気がするので新鮮に感じた。震災をテーマにしているので賛否両論はあると思うが、総じて良かった。

【扉について】
東日本大震災で母親を失った主人公「すずめ」が地震の引き金になる「みみず」が出てくる扉を閉じていく物語。扉を閉じる目的には、地震を引き起こすみみずの出現を防ぐためともう一つ、地震で失われた世界とのつながりに区切りをつけるためだと感じた。

主人公のすずめは、序盤は東日本大震災でなくなった母親にとらわれた人生を送っていたが、宮崎、愛媛、神戸、東京でのさまざまな出会いを通じて自分を見つめ直し、未来をみる前向きな性格となっていく。最後、出身地の東北で「いってきます!」と晴れ晴れとした声色で扉を締めたのは、すずめが過去に区切りをつけた瞬間だったのと同時に、作者がこちらに何かを投げかけてきているようにも感じられた。