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gifted/ギフテッドのreliableFilmManのレビュー・感想・評価

gifted/ギフテッド(2017年製作の映画)
4.0
 本作の監督は「500日のサマー」「アメージングスパイダーマン」を代表作とするマークウェブ。主演は「キャプテンアメリカ」で有名になったクリスエヴァンス。
淡い恋愛物語の「500日のサマー」とは全く異なり、姪と親父代わりの主人公との家族の絆とそれを取り巻く環境(子供の教育環境等)を描いた作品となっている。

 序盤、姪が自身の服装を「ディズニーキャラみたい」と皮肉るところから、男手一つで育ててる感が出ているのが面白い。

○母親(姪からすると祖母)の存在について
 母親自身は英国で数学者であったが婚約を機に渡米。作中で、孫(姪)から数学は諦めたのかと問われた際にはぐらかしていたことから、未練があることが窺える。
未練からなのか、自身の子供を数学者させようとし、結果、娘(主人公からすると姉)は天才数学者となった。数学の難問を解くために全てを捨てるように教育していたため、娘は疲弊し、最終的に自殺することとなるが、当の本人はその真実に気がついていない。
 また、難問自体は娘によって解かれていたが、公表は母親の死後にするよう娘と主人公は約束していた。これも当の本人は知らなかった。

○姪が「自分が誰にも望まれていない」と感じてトイレに引きこもるシーン
 生物学的な親父が存在しているのに一度も会いに来なかったことを知って、トイレに篭る。自身が誰からも必要とされていないと感じてトイレに篭った後、主人公と共に病院に行く。
病院で子供が産まれる場面に立ち会い、皆が喜ぶところを見て、同じようだったかと主人公に問う。主人公は全く同じで、俺がきて祝ったと答える。

 ここから、天才数学者の姉の子供に関しては、母親からは好意的に思われていなかったことが窺える。加えて、やはり、母親は利己主義であり、娘(主人公からすると姉)を数学の難問を解かせるための道具としかみていないことも察することができる。

○翻訳について(日本語字幕で鑑賞した場合)
 作品自体には関係ないが、翻訳について勿体ないと感じるところが数点あった。特に、カウンセラーとの会話のシーンで、叔父をどう思うかについて話しているときの姪の言葉「he’d wanted me before i was smart」を「最初から愛してくれた」と訳されていた点。ここでは既に母親が孫の頭脳目当てで干渉していたことを考えると、かなり勿体ないと感じた。
 本作は登場人物の心情が重要となるストーリ展開なのに、この訳だと姪の気持ちが感じ取れない。

 まとめとして、本作は家族の愛情と親の子に対する教育について考えさせられる作品であったと思う。祖母自身は本人に才能があるからその道に最短で効率的に進むべきだと本気で考えているところから、親は子供に自身の成し遂げなかったことを投射してしまうものなのかな、、、と感じた。