sensatism

魂のまなざしのsensatismのレビュー・感想・評価

魂のまなざし(2020年製作の映画)
3.0
彼女の人物画が好きなので鑑賞。

画家の伝記映画はゴッホの『永遠の門』以来だが、今作もゴッホの伝記と通じて画家の感性を感覚的に映像として確立していた。
筆とナイフが紙を擦る音、草原に立つヘレンと外界の境目が曖昧になった画面の煌めき、静的な部屋で窓辺に座るヘレンへの絵画的視点。

アーティストの伝記映画に共通することは、名声を得たか否かに関わらず平等に孤独な人生を歩んでいたことを描く点。
例に漏れず、ヘレンも孤独で、恋をしていた男を失い、母親も失い、生涯独身を貫く。
画家として人として認められることをヘレンが切望する映画ではなく、女として安泰と家族を得たい気持ちが打ち破られ静かにそれ(孤独)を受け止める映画のように思えた。

自分には家族がいないと嘆いていたヘレンが、母親を失いかける時につぶやいた言葉。
「母親が実は貴重な悩みの種だったのか、それとも、成功を阻む障害だったのか」
実は孤独の感覚を自分が選びとっていたことだったのだと気付く場面。
sensatism

sensatism