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エンパイア・オブ・ライトのqのレビュー・感想・評価

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)
4.8
2023年22本目(映画館8本目)

どうしたんだろう、というほど、ひたすら涙が止まらなかった。今も書いているだけで、思い出して泣けてくる。こんなことはいまだかつてない。
個人的なことすぎてここにはかけないけれど、自分でも整理のつかないいろんな気持ちを知ることになった。
あと何度も観る映画になる、というかDVD買うだろうなというほど私にとっては本当に素晴らしい映画だった。
たくさんの要素があるけれど、映画の魅力を2つにわけてかいてみる。

※マイナス0.2は暴動などストーリーとしても時代背景的にも大きな要素のひとつだったのだけれど、ちょっと要素が多すぎてストーリーがごちゃついた感があるところ、かな、だけど限りなく5.0レベルだった。

1. 愛について
ヒラリーの暗く光の無い日常に現れる、好奇心にあふれたスティーヴンという光。でも与えているのはスティーヴンだけじゃなく、彼女が彼に与えたものもある。外を歩けば差別に晒され、自分の存在意義は何なのかと悩む彼にとっても彼女といると自由で自然な安らぎが得られたのだろう、屈託のない笑顔をみせたり、会話の間に詩をはさむ知的な一面に自然と惹かれたのだろう。
互いに楽しさを屈託なく共有する時間。年齢差なんて忘れて思いのままにキスをしてしまうヒラリーの気持ち。
2人のちがいや年齢差やその先行き着くところなんてなくても、2人の心がつながりがよく見えた。
結局2人は離ればなれになってしまうけれど、それでも気持ちもつながっているし、それは時が経っても変わらないと思いたい。恋人同士にならなくても、心がどこかでつながっている、そんな愛もある。
感情が爆発し苦悩するヒラリーも、正直人間らしさしかないじゃないか、と思うけど、そんなヒラリーに対しての映画館の皆の態度、腫れ物に触るようなことは決してせず、自然ないい距離感で優しさと愛情をみせている描き方も素敵だなと、仲間たちの愛のかたちも好きだった。
いろんな愛の物語、PTAのマグノリアを思い出したな。

2. 映画と映画館の素晴らしさと映像美
本当に素敵すぎるアールデコ建築の映画館。これだけでも観る価値がある、と言えるほど。このロケーション、内装、こんな映画館があれば!!さらに最上階のかつてのジャズクラブだったあの部屋、言葉を失う美しさ。
そして映写室の壁一面の写真と、フィルムの切替もたまらない。
なお、はじめて訪れたグランドシネマサンシャインで観たので、エレベーターや廊下の壁一面に素晴らしい往年の映画のポスターが飾られていて感激した後にこの映画を観たので喜びひとしおだった。
エンパイアオブライト、というタイトルは舞台となる映画館の名前だけじゃない。実際の映像にも光をたくさん感じることができた。このロケーションなだけに、海の光、2人の顔を照らす光にも想いがみえた。
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