けーな

エンパイア・オブ・ライトのけーなのレビュー・感想・評価

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)
3.8
人生の機微を感じた映画だった。もっと単純な話だと思い込んでいたから。  

生きていると、いいことばかりではないし、弱い部分のある人や、偏見によって差別を受けている人も、いまだ多くいて、生きているのに辛くなる世の中であったりするけれど、出会う人の中には、温かい人達もいて、そんな人達に助けられて生きているんだな、なんてことを、改めて感じた。

舞台は、イギリス南部ケント州の海岸沿いの街マーゲイト。

1930年に建てられた実在する元映画館Dreamlandを改修して、撮影したのだそう。

ロジャー・ディーキンズが撮影しただけのことはあって、映像が美しかった。アールデコ調の映画館は、もとより、花火のシーンなど、絵になるシーンがたくさんあった。

そして、やはり、映画館が舞台なので、映画館っていいなぁと強く感じた。映写技師のいる昔の映画館は、ほんと絵になる。

オリヴィア・コールマンが、やっぱり巧かった。映画技師を演じるトビー・ジョーンズも、すごく良かった。味がある演技がお見事。それと、トム・ブルーク演じるニールという同僚、この人も、なかなか良かった。それに引き換え、コリン・ファースが、最低な男を演じてた。こんな役を演じるのも、新鮮かも。

1980年代に、不況下のイギリスで、黒人排斥を主張した輩が起こした暴動は、ほんとに、卑劣で許しがたい。スティーブンの将来が輝くものであって欲しい。

最後に出てくる映画「チャンス」からの引用で、『人生は、心のあり方だ』(Life is a state of mind.)という言葉が、心に響いてきた。
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