芦花

TAR/ターの芦花のネタバレレビュー・内容・結末

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

いや、凄かった。
予備知識無く見たので、正直ちょっと理解しがたいところもあったのですが、パンフを読み返して「あ、あああー!(なるほど!)」みたいな。


非常に細かいところに伏線が散りばめてあって、巧妙に追い詰められていくのですが、あまりに演技がうまくて「凋落していく」という構図に思い至らなかった。
というか、誰かの悪意で堕ちたわけじゃないというのがあとからわかるけど、伏線が巧妙です。
悪意が介在していると思っちゃう。

そして自業自得という話でもない。
それは違う。
でも堕ちていく。


リディア・ターの主張は正しいと思うし、それを裏付ける努力も見て取れます。
最初の講義の持論ややりとりも、生徒のほうがどうなのそれ?と思ってしまいますが、でも後になってくるとだんだんあれ?みたいなことも出てくる。

そういうトラップが至るところにある。
こちらは主人公目線なので、見ていて何かの隠喩なのか、それとも誰かの罠なのかが分からなくてゾワゾワするのですが、でも全編見たあとに振り返ると……という。

車内のシーン、自分で運転する時はブランシェット様視点のカメラワークなの、あれも精神状態を現してるのか。

そういったこととかも、よく注意すればわかるのかもしれないけど、初見では無理だな私は。

オーケストラの編成や、音楽論が分かればもっと楽しかったかなとは思います。
のだめだけの浅い知識だと無理だった笑




追記
今出てる書評読んでて、ちゃんと分かってから行くべきだったなーと。


「孤高・ストイック・傲慢・そして繊細」
このコピー、並び順がめちゃ大事とみた。
数式的に言うと、

((孤高・ストイック)×傲慢)×繊細

かなあ。
数学苦手なので合ってるかはわからないけど、たぶんこれかなと思ったよ。


いや、でもこれはなんの予備知識なく一回見れたのは貴重かも。
もう一回見たい。
全然印象が変わってくる〜。
6月予定入れようかなあ。
2時間38分。
なかなか長いけども。

ラストのシーンの、ブランシェット様のあの背中もう一度拝みたい笑

あのベルリンフィルの……と思うと、「凋落」とみる人はいるだろうし、たぶん本人もそう思ってるのかもですが、ホテルの部屋の窓を開ける後ろ髪と、ラストの後ろ姿、全然違う。

もう、圧巻の「孤高」さです。
芦花

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