観終わってから少しはこの映画のことを考えたりもしたけど、やっぱこんな映画が面白いわけないと思うな……。演出ひとつひとつは結構洗練されてるんだが、とにかく観づらく、分かりづらい。過度にハイコンテクストな語り口は意図的だろうけど、その実験的な姿勢があまり驚きに結びつかない。単純に、映画としてかなり退屈。
おれ「必死で喰らい付かないと読み切れない」みたいな映画は結構好きなんだけど、この映画はそういうのとも違うと思ったな。目的地もわからず横滑りしていくようなストーリーも絶妙にキレがないし、必死に喰らい付かせるだけの魅力を欠いてるように思う。新鮮さのあるアイデアが足りないんじゃないか。長回しのシーンとかは必然性を感じたし、演出の取捨選択は悪くないんだけど。
物語の余白を魅力的に見せたいなら、リン・ラムジーの『ビューティフル・デイ』くらいカッコよく、変なことやるだけの気概はほしいよな。考察に頼る映画は二流じゃないですか?
ストーリーをぼかしてもいいし、ディテールを省いたっていいけど、映画の魅力だけはちゃんと分かるように残さなきゃ。