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モリコーネ 映画が恋した音楽家のleylaのレビュー・感想・評価

4.2
楽しみにしてたので初日に鑑賞。敬愛するマエストロの映像が観れるだけでも幸せ♡胸熱でレビューがまとまらない。

エンニオ・モリコーネの生前を5年以上にわたり密着取材してきたジュゼッペ・トルナトーレ監督によるドキュメンタリー。

私が生まれて初めてサントラ盤というものを買ったのはモリコーネのマカロニ・ウエスタン3作でした。『荒野の用心棒』を観た時は音楽に度肝を抜かれ、天才ちゃうか!と思いました。センスとアイデアと想像力の塊。音楽が作品を高め、映画が総合芸術であることを体感させてくれる希有の作曲家。彼のおかげで映画音楽の価値が上がったと言っても過言ではないでしょう。

クラシックに比べ映画音楽は下に見られていた時代、もうやめようと何度も思いながらも、映画界から引く手あまたでやめられなかった。まさに映画が恋した音楽家。

アカデミー賞に幾度もノミネートされながらなかなか獲れなかった。タランティーノの『ヘイトフル・エイト』で作曲賞が獲れたときにタランティーノが言った「彼は現代のベートーヴェンだ」という言葉に同感です。

モリコーネは暴力的な作品は苦手らしいですがマカロニ・ウェスタンで注目を集め、タランティーノやパゾリーニに愛され、アカデミー賞受賞作がタランティーノ作品ていうのも皮肉で面白いなぁ。

父親がトランペット奏者で、父が歳をとりうまく吹けなくなってからは自分の楽曲にトランペットを入れるのをやめたというエピソードが感動的でした。

ご本人が監督だからか『ニューシネマ・パラダイス』にサラッとしか触れていないのがもったいなかった。あの作品は映画好きでなくてもモリコーネの存在を知るきっかけとなったし、本人にも転機となった意義のある作品だと思うので。

『アンタッチャブル』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』『1900年』etc.どれもこれも素晴らしい。映像と音楽が流れるだけで感動と興奮が甦ります。モリコーネのすべての映画作品をソフト化か配信化して欲しい。

数々の著名人がインタビューに答えています。私が嬉しかったのはテレンス・マリック監督とタヴィアーニ兄弟監督。貴重でした。

今作に不満があるとしたら、インタビューが短いブツ切りの編集なので字幕を追うのが忙しく、もっと一人ずつじっくり話を聞きたかったこと。配信でもう一度見直したい。あと最後がしつこくて長かったかな。

この作品を作った監督に感謝を。
そしてマエストロに心からの拍手と敬意を♪


📌個人的memo

・セルジオ・レオーネとモリコーネは小学校の同級生だった。
・何百曲も手掛けているのに、どの曲もすぐメロディを口ずさめちゃうのがすごい。
・映画以外でもイタリアの歌謡曲やテレビ・ラジオもたくさん手掛けている。
・プライドが高く完璧主義、そんなところも職人ぽくて気高い。
・受賞挨拶で奥様への感謝を述べるシーンが感動的。
・『ソドムの市』で音楽を依頼する際、パゾリーニはショッキングなシーンは省いて見せたのだとか。(wikiより)
・キューブリックの作品に関われなかったことは今も後悔しているそう。
・ニーノ・ロータのドキュメンタリーも誰か作って欲しいなぁ。
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