このレビューはネタバレを含みます
映画音楽家エンニオ・モリコーネを描いた、ドキュメンタリー映画。
私個人としては、そこまでモリコーネに想い入れはなかったのですが、彼の生い立ちからキャリア、ディスコグラフィーをじっくり紹介する内容で、門外漢の私でも興味深く見る事が出来ました。
クラシカルな音楽の教養だけでなく、実験的な現代音楽にも傾倒していたからこそ、常に新しい音楽が生まれ、あれだけの作品数をこなしても才能が枯渇する事がなかったのでしょう。
他の曲からの引用…所謂、サンプリングまで取り入れていたのには驚かされましたが、同じく映画界にサンプリングを持ち込んだタランティーノによって、アカデミー賞を受賞するのは奇妙な縁を感じましたね。
縁という意味では、セルジオ・レオーネとの運命的な再会も凄い話だと思ったし、逆にキューブリックとのすれ違いには嘆息するばかり。
モリコーネによる『時計じかけのオレンジ』、見てみたかったな~。
2時間半もある時間に尻込みする人もいると思いますが、仮に知らない映画でも彼の音楽と映画のシーンが流れるので、置いてけぼりになる事はありませんし、知っている映画ならば当時の貴重な裏話を知れるはず。
『夕陽のガンマン』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』『ニュー・シネマ・パラダイス』…何か一つでも彼の音楽を聴いた事のある人ならば、見て欲しい作品だなと思います。