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皇帝のいない八月のyaaaのレビュー・感想・評価

皇帝のいない八月(1978年製作の映画)
4.0
チャラチャラしやがってぇ~。
日本は美しい国なんだぁーとクーデターを起こす元自衛隊員。
鉄ちゃん歓喜の寝台列車を乗っ取って東京目指す。
それをもみ消そうとする魑魅魍魎。

今では作られることはないであろう激辛の大作。

列車が乗っ取られた攻防を活写するというより、お国のため、いや自分のためにそれらを利用、活用しようとする偉い人々のどす黒いやりとりがなんとも強烈でたぶんに占める。

日本のフィクサー・佐分利信をはじめ既視感あるおなじみの政治家キャスティング。しかし、脂っこい蓄積された嫌味たらしい芝居が楽しめる。
なんと憎憎しい総理大臣の滝沢修。
暗躍する時だけ、キャップにベストという釣り人みたいな高橋悦史。
いるだけ、しゃべるだけの丹波哲郎。

小指たて小瓶でビール飲む、「ゼロ・ダーク・サーティ」も真っ青の拷問の達人・三國連太郎。ひさびさに黒バージョンのねっちこい芝居魅せてくれます。

恐ろしい大人の世界と平行して、乗っ取られた列車の中では元カレと元カノが出会い「すきだったんだよ」が展開。
元カノの今カレが出現して物語はますます濃くなってゆく。
元カノ吉永小百合目力強すぎます。青姦・強姦ありの体の張りよう。

クーデターの張本人・渡瀬恒彦。
監督の意図がないであろうが、めっぽう男前でかっこよくうつります。

もちろん山本薩夫監督なんで政治的、思想的思いはたっぷりこめられていて国を憂える作品だが、名優たちの巧みな小芝居を濃縮して楽しめる作品でもある。
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