コーディー

コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ーのコーディーのレビュー・感想・評価

3.9
1968年シカゴ、許されない中絶を極秘支援する団体に藁にも縋る思いで行き着いたジョイが同じ恐れに晒される女性らのため主婦と活動家、二重生活を開始する…
社会や法律、男性が考える最善と女性のそれが乖離していた時代、危ない橋でも権利を得るため渡るしかなかった彼女達の連帯が勇ましかった。

夫との関係も良好で10代の娘とも仲良し。けれど平穏に護られた生活の外には誰かの痛みがある事、自分の身に降りかかって初めて気付く誰にも護られない不安を中絶という経験を通して実感する。
そんな漠然と捉えていた世界は何も安全ではない。という使命感と共に静かに変化していくジョイの視点、抑えていた感情を解放する様子が胸に響く。

できるだけ多くの女性を平等に救いたい、けれどお金も必要。という理想とビジネスの溝を埋めるための策など、独自の倫理規範に突き動かされる展開はなかなかに壮絶だったけど、その辺りをシリアスに描き過ぎず、私たちに出来ること…で理解し合う姿がとてもパワフルに描かれてた。
そんな静かに革命へと動き出す女性たちを演じるエリザベス・バンクスやシガニー・ウィーバーの抑えた演技も素敵で格好良かった!

あとコーリー・マイケル・スミス演じる胡散臭いけど腕は良い医師。軽薄だけど可愛とこもある感じが絶妙でした。交渉シーン好きw

と、軽快さが良くも悪くもな面はあるけど、今なお続く問題を広く伝えるという意味でも意義のある映画でした。