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MEG ザ・モンスターズ2のナーオーのレビュー・感想・評価

MEG ザ・モンスターズ2(2023年製作の映画)
1.0
この映画に突っ込むのは野暮って分かっていますが……

単純につまらなかったです……

当初は『ホステル』や『グリーン・インフェルノ』などのイーライ・ロス監督がR指定映画として製作を進めていた前作『MEG ザ・モンスター』ですが、製作に中国の映画会社"グラヴィティ・ピクチャーズ"が参加したことにより、当初予定されていたシリアスでダークなホラー映画という作風を変えないといけないことに不満を抱いたロスは降板。結果、『ナショナル・トレジャー』や『魔法使いの弟子』など割とアレな映画ばかりのジョン・タートルトーブが監督し、当初のビジョンよりもグロテスク要素はかなり控えめな超絶薄口サメ映画として製作されてしまった経緯があるこのシリーズ。

1作目も続編の本作もアメリカと中国合作映画ですが、ほぼほぼ中国映画。

白人の悪役、中国人のヒーロー という割と露骨な中国要素が多く、前作と本作も色んな意味でバランスが良い映画とは言えないですが、本作は前作よりも脚本が破綻しており、とても残念な出来でした…

この映画に雑だとか突っ込むのは野暮って分かっていますが、単純に退屈な場面が多くて面白くなかったです。

冒頭から前作の主人公の設定はどこに行った と突っ込まざるを得ないスパイ映画さながらのアクションを見せられ、なんだかんだあってメガロドンと遭遇する中盤まで結構退屈。潜水艇が壊れてしまい気圧に耐えられるパワードスーツを着て海底を歩く というウィリアム・ユーバンク監督の『アンダーウォーター』的な展開がありますが、主人公たちはどこか観光モード。緊張感がないので寝てしまいそうになりました…

で、なんだかんだあって海底から脱出できますが、そこからの展開はもっと退屈な人間同士のつまらない争いがメインになり、メガロドンの話が何処かへ行ってしまうのも残念。しかも変なトカゲやデカいタコといった余計な敵たちも登場して、メガロドンの出番がますます減ってしまたのも残念……

取ってつけたようなテロリストとの戦いも正直クッソつまらない。

潜水ダイバーという設定だったジェイソン・ステイサムの主人公ジョナスはいつから007のようなスパイみたいなった…

本作ではまさかの海底を泳ぐという馬鹿みたいな場面がありますが、ステイサムだから問題なし という力任せ過ぎる脚本には一周回って魅力的にも感じなくもないけど、この場面の前に気圧に耐えきれずにパワードスーツごと粉砕したキャラクターがいるので、その人の死はなんだったの??物凄く無駄なキャラクターでした。

また前作でヒロインを演じたリー・ビンビンはまさかの降板。劇中ではなぜか死んでいる という雑な退場。恐らく中国でリー・ビンビンよりも人気なウー・ジンが出演するから"用済み"として降板させられたと思います。

イギリスの階級差別の構造を皮肉った風刺映画『ハイ・ライズ』や90分間ほぼ銃撃戦が絶え間なく続く、タランティーノ風味な『フリー・ファイヤー』、賛否が大きく分かれたヒッチコックの名作映画をリメイクした『レベッカ』など、どちらかと言えばアート映画を得意とする映像主義派な監督であるベン・ウィートリーが本作の監督に抜擢されたのはとても意外。

とはいえ、間違いなく本作は彼の汚名になったでしょう……

今後は"ハイ・ライズの"、"フリー・ファイヤーの"ではなく、"メグ ザ・モンスターズ2のベン・ウィートリー"と紹介されると思うと気の毒……

ちなみに9月16日にNetflixで配信されることが決定した本作の一つ前の監督作『イン・ジ・アース』の方が間違いなくベン・ウィートリーらしい映画なので、そちらは期待できそう。
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