コーディー

PLAN 75のコーディーのレビュー・感想・評価

PLAN 75(2022年製作の映画)
3.9
健康状態に関わらず75歳以上なら誰でも死の手助けを受けられる制度。任意選択という一見すると尊厳を守るシステムの体裁と本質。社会における高齢者の居心地、疎外と受容を淡々と捉えながらも決して無視できない人に備わる感情、死を通して滲む理屈を超えた〝生〟の尊さを見つめる。良い!

独り暮らしをしながらホテルの客室清掃員としてまだまだ仕事もでき、社会とも繋がれる78歳ミチ。慎ましくも居場所があり自ら生活を支えられる、そんな彼女に訪れる自尊心の揺らぎ。PLAN75が謳う自由意志の向こう側がミチだけでなく様々な視点から見えてくるし淵に立つ倍賞さんの演技にも心抉られる。

まあメッセージ的なものはやや新鮮味に欠けるけど、今より管理された社会として少し先の、と言うか人間的な繋がりや感情が更に希薄になった近い未来な雰囲気は感じた。だからこそ事務的に窓口業務をこなすヒロムを演じるや磯村勇斗やコールスタッフ河合優実ら若い世代の心の動きが物語の肝になってた。

特にファーストコンタクトからの声の幅やら、電話越しの声だけで感情の波が手にとるように伝わる河合優実さん、やっぱちょい格が違う気がする。
鳥肌立った。