1995年製作。
パソコン通信からはじまり、電子メールで交流する「ハル」と「ほし」の物語。
既にパソコン通信という言葉は過去のもの。作品内でのメールはまだ黎明期というか、やり取りは文通の延長のような存在で、現状の役割とは異なる。
ネット上での出会いって怖いし実体への懐疑があるけれど、2人のメールのやり取りには、それを超えられる何かがあったのだと、当時よりも情報技術の発達した今だからこそわかるという不思議な感覚。
終盤、ほしのメールの内容は全てが溶解していき、こちらの気持ちもあふれ出す。
2人の生活とメールの内容から、客観的に見つめる私たちが望む形で最高のラスト。
でもハイライトはやっぱり黒澤明の天国と地獄オマージュの新幹線での邂逅シーン。
あんなにも、想像を張り巡らせてドキドキする瞬間があるんだろうか?
森田監督は商業的な作品も作れる人だったとはいえ、切り口は当時としては斬新だし引きと俯瞰の構図やガラス窓に映る光源、電光掲示板のアップなどやっぱり独特の世界観。
とても心地よくて、静かな作品。