両親の別居に激しく心が揺れ動く娘・レンコの物語。表面上は気丈に振る舞いながらもなんとか元通りの生活を望む。
子供は何もわかっていないようで両親の変化を嗅ぎつけるし、自分が道化役となることで過去を取り戻せるかもしれないと健気に行動する。
祇園祭や琵琶湖の火祭りという「非日常」を背景にレンコのかつての「日常」はどんどん飲み込まれて行く。現実にはもう存在しない仲良しの両親。そして両親と笑い合うレンコ。その姿を見つめながらレンコはレンコを抱きしめる…
まるで呪詛のような「おめでとうございます」の繰り返し。不条理な現実を受け入れて大人になるしかない儀式の描写が見事でした。
レンコがラストの選択を出来たのは同じような境遇の同級生を知ったこと、そして別れにももう一段階上の死別があることを知ったからなのかなと思います。
世界が少し広くなると一歩前に進む覚悟が出来る。
月に吠えて鳴いたことで彼女は自分を浄化したのでしょう🐺
とても幻想的で神秘的で素晴らしかったです。