doji

ドント・ウォーリー・ダーリンのdojiのネタバレレビュー・内容・結末

-

このレビューはネタバレを含みます

さすがにこのネタバラしに対して新鮮味というのはそもそもねらってはいないと思うので、どちらかというと、オリヴィア・ワイルドがどのようにつくられた現実に対しての反旗を翻す描写をするのかの方が気になってはいた。「私に挑戦するものが現れた」とクリス・パインが語り、フローレンス・ピューとの一騎打ちを予感させるシーンはわくわくしたし、50年代のクラシックカーがクラッシュするカーチェイスもなかなか新鮮。肝心なところは、そこからどのように世界を破壊するかの方法だったと思う。

結論からいうともっと盛り上げてほしかったなというのが正直なところ。ラストにかけて、これが家父長制の復権を願う男たちによるシミュレーションだとわかり、そこからの脱却を描く中で、フローレンス・ピュー演じる主人公が、とらわれた女性たちをallyとして引き連れていく展開の方が、もっと劇的だったのではないかと思う。オリヴィア・ワイルド自身が演じるように、家父長制の世界に留まろうとする女性がいるという選択肢を描いたのはとてもよかったと思うけれど、ラストのジェンマ・チャンの裏切りは唐突すぎて、もうちょっとそこに至るまでに必然性を感じさせる描き込みがないと、逆転を描くダイナミズムがなかったように思う。

女性たちへの抑圧をこのような定番の設定を利用して描いたのはおもしろいけれど、それならばもっとやってほしかった。海外では酷評が飛び交っているようだけれど、ちょっとそれは映画の外側の問題、監督とハリーのいざこざによるもののような気がするし、なんともそちらももったいない。
doji

doji