ふぇりな

ドント・ウォーリー・ダーリンのふぇりなのレビュー・感想・評価

3.7
ずっと気になっていた作品。女性の抑圧や搾取についてをホラーとして描いたという点では、「ラストナイトインソーホー」以来の作品ですが、こちらのほうが目に見えるホラー要素は少なく、直接的な表現を極力使わないので、トラウマを思い出したり観るのが辛くなったりすることはありませんでした。そういった意味では、かなり配慮されていたかもしれません。

ただ、個人的には、もっとはっきり描いてもよかった気がします。婉曲に婉曲を重ねているので、訴えたいメッセージ自体もぼやけてしまっていますし、気になる部分が曖昧なまま終わってしまったように思えました。特にオチについては、宙ぶらりんな感じがしてしまって、モヤモヤしたままでスッキリしませんでした。フラストレーションが溜まった割にカタルシスがなかったので、もっと派手にやってほしかったですし、もうひとひねり展開がほしかったです!
また、一つ一つのシーンが長く、もう少しサクサク進んでもよかったのかなとも感じました。2時間くらいの映画ですが、1時間半くらいにまとめた方が見やすかったと思います。

俳優陣の演技は全体的に良かったと思いますし、衣装や美術面も美しく、全体の雰囲気も相まって魅了される感じがして好きでした。フローレンスピューはこういう役が多くて大変だろうなとは思いますが、実際似合うし上手いからすごいです。ハリースタイルズの演技は久しぶりに見ましたが、かっこよさと情けなさが同居していていいと思いました。

オリヴィアワイルド監督らしいフェミニズムの要素を含みながらも、これまでにない作品には仕上がっていたので、モヤモヤするところが余計に目立ってしまって惜しい気持ちがありました。監督の今後の作品では、ブラッシュアップされるといいなと思います。
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