butasu

ドント・ウォーリー・ダーリンのbutasuのネタバレレビュー・内容・結末

2.0

このレビューはネタバレを含みます

フェミニズム全開ポリコレ映画。男が外で働き女が家を守る、そんな古い時代の価値観と同調圧力に負けないで立ち上がれ女たち!意識をアップデートさせよう!というストーリー。何の捻りもないドストレートなメッセージ。つまらなかった。監督はやっぱり女。でしょうね。

真面目に書くと主人公のアリスが"理想の生活"に隠された真実を見つけそこから抜け出そうとする話。このアリスの行動が行き当たりばったりで、計画性が無く愚か。周囲が全員敵かもしくは全員洗脳下に置かれているという状況なのだから、もっと慎重に確実性のある行動をとるべき。しかも同じように状況に気付いて喚いた女性が殺されているのまで目撃しているのだ。ところがアリスがとる行動はといえば、わざわざ人を集めて(しかも元凶のボスであるフランクまで)、同じように喚き散らすだけ。結局再洗脳(今どき電気ショック)を施されるが、それが計画の内なのかと思えば全くそんなこともない。

逃げろと言われているのにチンタラしていたり、スリルがまるでないのもこの手の映画として致命的。何とかアクション要素を入れたかったのだろう、終盤に急にカーチェイスが入ったのにはもう笑ってしまった。

あとアリスが真実に気付く過程が、観客を置いてきぼりにしすぎていると感じた。各夫婦が出逢いのエピソードを捏造されているのとか、いつ気付いたのか。最終的に夫が全てを仕組んだことを思い出すきっかけも、再洗脳からの記憶の揺り戻しという有様。ヒントや伏線を散りばめて観客を楽しませようという気がゼロの自己満足映画にしか見えなかった。

これは本当にただの好みの問題なので申し訳ないのだが、どうやら自分はフローレンス・ピューが苦手のようだ。今までも彼女の出演作を観ていてうっすら感じていたが、今作で確信に変わった。大して美人でもないし、何というか体つきがもっさりどっさりしていて、シルエットがダサい。ポリコレ全盛期の今、スリムでセクシーな女性よりもこの体型の方がもてはやされるのかね、知らんけど。美しい妻たちによる理想の家庭、という序盤のシーンの説得力が、彼女の現実感によって台無しになっているように思えた。何回か出てくるセクシーシーンも喘ぎ声も、ちっともエロくないと言うか獣の交尾感が否めなかった。本当に失礼なことを言っているな。言い過ぎたわ。

あと夫役の演技がかなり微妙に感じたのだが、どうやら元アイドルらしく、監督の権限でキャスティングされ、しかも監督と付き合っていたらしい。監督、やってることただのセクハラおっさんなのだが、女性ならこれが許されるのか?何だこの時代いいかげんにしてくれ。

輪になって踊るダンサーの脚が人間の瞳に重なる映像は好き。流石に何回も出し過ぎなので見飽きては来るが。ここぞというタイミングにしたら良かったのに。

結局全ては匂わせるだけで細かいことは一切描かないまま。あれだけ散々引っ張ってあの終わり方は無い。結局フェミニズム映画が撮りたかっただけで、細かいことはなんにも考えてないんじゃん。フランクが最後唐突に妻に殺されて主導権を握られるのとか、特にストーリー上に必然もない純然たるポリコレ要素であり、ゲンナリした。

自分がポリコレ映画の何が嫌いかって、男女が逆だったらお前らブチギレるだろという内容に仕上がっているところ。男は元々激務で頑張っていたのに、妻はそれを理解しようともせずにダラダラと過ごし、あげく自分の幻想に閉じ込める話。女たちが自分のために男たちを騙して洗脳して監禁して、そこから抜け出そうと男たちが頑張る。いや間違いなく苦情殺到でしょ。大体この映画、"男はみんな女を自分の理想通りに従わせたい"と描いているが、これもまた女性による男性差別ではないのか。もうウンザリです。
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