いるね、こういう好人物そうで、実は攻撃的性格で相手を支配したがる危険な奴。本作は、そういういい人ぶりアピールの虚言癖オランダ人夫婦に目を付けられ、お泊りの招待を受けてしまったデンマーク人夫婦が遭遇するスリラー。些細なことで怒りをあらわにし、攻撃する。怒りを抑えられない性格を子供にも隠さないようだ。外食に招待しながら、食事代をおごらせたり、子供たちのダンスに、しつこくダメ出しを繰り返す。「この夫婦、おかしいよ」。夜中に車で逃げだしても、逃れられない。また戻るはめに。カフカの『城』のような不条理な世界。被害者夫婦はデンマーク人、加害者夫婦はオランダ人。妙にオランダ愛を見せるのも不気味。どことなく、オランダのポール・バーホーベンと、デンマークのラース・フォン・トリアーとの闘いを勝手に思ってしまったが、どっちも変な映画作家なので互角か。でも、本作は、鬼畜ぶりではオーストリアのミヒャエル・ハネケを超えてはいないな。ラストの着地にも安易さと甘さがある。
