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胸騒ぎのMrOwlのレビュー・感想・評価

胸騒ぎ(2022年製作の映画)
3.5
怖かった。ジャンルはヒトコワ系ですね。
抑制された怖さの演出が、こういう事ってあるよな~というリアリティが感じられます。
似たようなシチュエーションを経験された人は、より怖さを感じるでしょう。
実際、この物語のベースは監督・脚本を手掛けるクリスチャン・タフドルップ監督の実体験に着想を得ているとのことです。
旅先で出会ったこともあり、お互い印象はそれほど悪くない両家族。
でも食事の時の会話や反応に、ちょっとした違和感を感じる部分も。
旅先だと一時の付き合いですから、それほど気にはならないでしょう。
でも招待されて週末を過ごすとなると・・・
違和感や胸騒ぎを感じ、居心地が悪くなっていく怖さ。
そして徐々に相手と自分たちの価値観の違いが明確になっていく・・・
これ以上は親しくなれない、と確信することも一つの怖さですね。
このちょっとした違和感、胸騒ぎを抑制した形で演出しているので、
いつ一線を超えるのか、という緊張感が終始物語を支配していて没入感がありました。
また違和感の演出の妙として、まだ微笑ましい家族の交流のシーンでも
不穏なBGMを使っている点が上手いな、と思いました。

自分はラストシーンの少し手前のビャアンが「こいつらヤバイ」と確信に至るシーンが怖くて良かったです。
ラストシーンの展開は、個人的にはちょっと「違和感」がありました。

クリスチャン・タフドルップ監督はインタビューで、
「人間には境界線というものがあるわけですが、
それを越えられた時に、礼節を重んじているからこそ、
「NO」と言えない。礼儀正しいというのは、非常に人間的なことだと思うんです。
胸の中はざわついているけども、表立っては違和感を流してしまう。
特にスカンジナビアの方々はそういう傾向にあると思います。」
と述べているので、
スカンジナビアの人々から見ると、共感できる要素も多いのかもしれません。

日本人は「親しき中にも礼儀あり」と、親しい間柄でも一線を超えることは避ける、
裏を返せば、一線を超えるならば、こちらも相応の対応はしますよ、という価値観もあるので
その辺りでラストシーンの評価が分かれそうな気がしました。

尚、スカンジナビアとは
スウェーデン
ノルウェー
デンマーク
を指す(場合によりフィンランド、アイスランドも含む)そうです。
北欧ホラーという表現が使われている理由はそのためか、と。
北欧は勝手にスウェーデン、ノルウェー、アイスランドくらいだと思ってました。
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