きらきら武士

胸騒ぎのきらきら武士のレビュー・感想・評価

胸騒ぎ(2022年製作の映画)
2.5
イタリアのバカンスで知り合った感じのいいオランダ人の家族。
彼らの家に招かれたデンマーク人家族が知ることになる彼らのおぞましき真の姿。

・デンマーク発「最狂ヒューマンホラー」
・後味最悪・ブラムハウスでリメイク決定!
・ミヒャエル・ハネケ監督の『ファニーゲーム』を思い起こさせる…
・同じデンマーク出身のラース・フォン・トリアー監督に通じる…

などの前情報に惹かれて観に行ったのだが、なかなかの期待外れだった。脚本が弱いし、アイデアも貧弱。描きこみの質も量も足りてないように思えた。

謎解き部分は<ホラ話>。
盛りに盛ったドヤ展示が鬱陶しい。
回転率どんだけよ。ありえん。
興が乗らない。

終盤、被害者側の両親に対して「アホか…お前らもう●されてろよ。」とサディッスティクないけないことを脳内でつぶやいた。しかし、これこそ脚本の狙いか。監督いわく、テーマの一つは「罰」だとか。<主客転倒劇>的な目論見。ほとんど成立していないけど。
だからラストにおいては「罰されるのはそっちか!」と独りよがり的唐突さに驚き、ヘタレ両親のまさかの「非暴力/<全>服従」の境地に苦虫を噛み潰すことになる。加えてキリスト教チックな匂わせ。鼻についた。エンドロールもお上品ぶっていてしつこかった。途中で席を立って帰る人達がいて、同様の人達は各地の劇場で結構いらっしゃったようだ。私も早く帰れば良かった。

感心したところといえば。
悶絶の<ウサ公ターン>。今思えばあそこが最大瞬間風速だった。そして、あそこが綺麗に<主客転倒>の見たとおりのターニングポイントであり、そして帰還不能ポイントでもあったのだ。が、結局その後のしょうもない和解シークエンスによってぼやけてしまった。勿体無い。

なお、胸糞悪いのは概ね評判どおりだった。が、それも思ってたんと違う「子どもを残虐描写の対象にすな!」というガチに映画倫理でNGな話だった。そういうのダメな人は観ないほうがいいレベル。

原題の"Speak No Evil"は、日本語の「三猿」、すなわち「見ざる、聞かざる、言わざる」の「言わざる」に相当する英語表現。全体としては"see no evil, hear no evil, speak no evil"と言う。映画ではタイトルを字面通りに巧みに使っているが、その綺麗さがかえって腹立たしい。「子どもを残虐描写の対象にすな!」再度はっきり言いたい。

「三猿」は「四猿」バージョンもあり、「見猿、聞か猿、言わ猿、せ猿」となる。四匹目の猿は股間を抑えている。意味は…つまりそういうことである。欲望まみれの節度のない行いはしないということ。"do no evil" そのあたり踏まえてブラムハウスにはリメイクを頑張ってもらいたい。

蛇足ながら、邦題『胸騒ぎ』は映画に全然はまっていない。これも変えた方がいいと思う。

#2024 #39
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