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僕らの世界が交わるまでのkaitoのレビュー・感想・評価

僕らの世界が交わるまで(2022年製作の映画)
3.0
『僕らの世界が交わるまで』


A24配給で『ソーシャル・ネットワーク』で有名なジェシー・アイゼンバーグが初監督を務めた今作。『ストレンジャー・シングスシリーズ』の主人公であるフィン・ウルフハードが出ていることもあり、また2024年の新作をまだ観ていないこともあって鑑賞。

結論から言うと、個人的には可なく不可もなくな映画という印象だった。それでも好きな要素はあったので、纏めていく。あらすじは「DVシェルター運営する母のエヴリンとネットで音楽ライブを配信し収入を稼ぐジギー。やりたいこと・こうなってほしいの理想・気持ちがすれ違う2人を写したハートウォーミング・コメディといった」のがざっくりとしたあらすじ。

主人公の一人であるフィン・ウルフハードが勤めたジギーというキャラクター。高校生ということもあり、大成功とまではいかないもののインターネットで音楽を配信し、それなりにフォロワーがいる背景がある。彼が高校内で気になっている女性に話しかけるシーンは、ティーンエイジャー故のひたむきさや後先考えずに真っ向から向っている様子が感じられ、かなり微笑ましいシーンだった。ただ割と他の映画でも見られるキャラクターで新鮮さもないため、映画を観終えた時にはそこまで興味を持つことができなかったのも事実である。そしてジギーの母親のエヴリンも「こうあるべきだ」と子供に対する思いが強い人物で、作中の後半でその矛先がシェルターに住んでいる親子へと向かっていく。過保護にはいき過ぎている描写もあり、物語は基本コメディ・ハートウォーミングっぽい雰囲気で進んでいくにもかかわらずそのシーンは
あまり映画全体のトーンにあっているような感じがしなかった。

歌も一応メインにはなっている映画ではあるが、個人的にはそこまでハマることはできなかった。高校生が作っている未完成っぽさや純情さはあるので、いい歌というよりは映画のテーマに即したような音楽ではあった。

原題「When you finish saving the world」は、社会福祉で意義のある取り組みをしているエヴリンと世界に向けて音楽ライブを配信しているジギーが一度、目の前の人と向き合う意味でしょうか。邦題の「僕らの世界が交わるまで」もそれに近しいと感じる。まさに二人が見る世界は狭い。それを劇中で度々登場する二人乗り用の自動車で視覚的に表しているのは個人的には好きだった。ただ言いたいことや映画が表現したいことは理解できるが、あまりこの映画の登場人物に興味を持つことができなかったのでそこが個人的には残念だった。映画のトーンもコメディ・ハートウォーミングが一貫していれば良かったが、エヴリンの行きすぎた様子は若干ホラーっぽさがあり、個人的には好きになることができなかった点である。

90分くらいの映画で、温かみのある映像だったので飽きずに見ることはできたかな。
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