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ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!のkaitoのレビュー・感想・評価

3.1
『ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック』

字幕でやってるところの時間合わず、吹き替えでもいいか〜ということで吹き替えで鑑賞。平日のお昼前、子供が多くて、みんな大人しく観ててよかったです。監督はジェフ・ロウ。僕の大好きな『ミッチェル家とマシンの反乱』において脚本を担当していた。絵のタッチは若干違えど、作品の根底にあるものは似ていた気がする。コミカルで印象的な絵で、テンポ感の良い映画のように感じた。

ハリウッドのアニメーションにおける主流なのか『スパイダーバース』『ミッチェル家とマシンの反乱』などコミック的な要素を残した映画っぽい。それが流行っていて少し飽きてきた感はあるものの、ミュータント・タートルズの世界観には合っていたように感じる。3Dグラフィックでやられてもという感じだし、2Dでもいいがアクション要素がイマイチ生きないように感じる。だから今作が今作のようなアニメーションで臨んだのは大いに支持できる。ただ今年に関しては『スパイダーマン・アクロスザスパイダーバース』がアニメーションにおいては飛び抜けている存在である。それを超えていたとは個人的には思えない。

ストーリーはわりとありきたりな映画だった。過去の回想から人間に気持ち悪がられ人間を敵対視する親と人間に憧れを抱く主人公たち。よくあるような導入から始まり、よくあるような締めくくりだったと思う。『ミッチェル家とマシンの反乱』においても掲げられるテーマは家族やAIのことで、こちらも典型的ではあるものの世界観が思った以上にぶっ飛んでいるし、アニメーションも面白いから逆に典型的で良かったと思う。しかし今作においてはシリーズ化されている有名な作品の中で、ただただ普遍的なテーマが語られていたと思う。ただ子供にとっては分かりやすいテーマだし、教養的な観点で言えば良いものなのだと思う。

今作では割と多くのキャラクターが登場する。ミュータント・タートルズに加え、育て親のネズミ、人間でジャーナリストを目指すエイプリル、研究所の人たち、そしてミュータントの地位をあげようとするスーパーフライとその一味。基本的にはタートルズ視点で物語は描かれるものの、イマイチ彼らのことを好きになれない。物語の中では「主人公を応援したくなるような印象的シーン」が描かれることが多いが、今作はあまりそういったシーンはない。複数のキャラクターがいて、彼らが中途半端に登場しあっているような印象。ヒロインのエイプリルも「リバースガール」という汚名を返上したいがために行動していて、イマイチ亀達との絆が感じられない。キャラクターの描かれ方が非常に勿体ないと感じたが、強いて好きになれたのはネズミの育て親くらいだろうか。研究所の女性の登場については次回作に繋げるため感が満載で、時間の穴埋めが満載だった。キャラクターが増えるくらいなら、父子の絆の描き方は他の方法でも良かったんじゃないかなと個人的には思う。

マイナスな発言が多くなったが、つまらないことはないし、観ていて最後まで飽きることはなかった。ただこの映画から得たものは正直言ったところ無。子供はコメディシーンで笑っていたし、メッセージはストレートに子供向けだったのかもしれない。あ、スーパーフライのデザインはわりと好きだったかも。
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