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はい、泳げませんのmmmのレビュー・感想・評価

はい、泳げません(2022年製作の映画)
4.0
大学で哲学を教える小鳥遊雄司は、泳げない。
そんな彼が奮起して水泳教室に通う中で、自分と向き合っていく話。
(ざっくり)
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原作はノンフィクション作家である高橋秀実氏の同名エッセイ・未読

正直、そこそこ規模の大きそうな作品なので、コメディか
感動モノに振りきれてしまうのかなぁと思っていましたが、
思いの外、深イイお話でした。

テンポの良いストーリー展開ではないので、
観る人によっては乗り切れないかもしれませんが、
泳ぐことや水泳教室で出会う人と関わる中で、
省みることと気づきについて描かれています。

ちょっと大げさかもしれませんが、泳ぐことと
生きていくことがリンクしているようで、
鑑賞後にじんわり沁みてくるような作品ではないかと。

勝手ながら、卑屈でちょっと複雑そうな性格を
演じることが多い長谷川さんがみせる内面は、
形を変えれば誰もがもつものであり、
苦手といいつつ、”泳げない”を越えようとする姿に
ちょっと元気をもらった気がします。

綾瀬さんもまた快活な役どころが多いですが、
体を動かすことと心が健やかであることは
繋がっているんだなぁと思わせる説得力がありました。

個人的に、美味しいごはんが出てくる映画と
悪い人が出てこない映画は良作が多い気がしていて
この作品は後者に当てはまってます。

コーチ、水泳教室に通う面々、元妻や恋人、
ちょっとラッキーなくらい人に恵まれた小鳥遊さんですが、
その人達の言葉に耳をすませつつ、
一緒に泳ぐような心持で観るとよいのではないかと思います。

ちなみに、私も泳げませんが
(平泳ぎするとバックしちゃうの、人生そのもの…)
ちょっとプールに行きたくなりました。

シーンのつなぎ方はちょっと好みとは違ったので
そこだけがうーんって感じでした。

好みにもよりますが、数字の評価だけで観るのをやめるのは、
ちょっともったいないかな。
なんだか最近、シネコンの作品は猛スピードで入れ替わってしまうので
気になった方はお早めにどうぞ。
mmm

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