ヒロシゲキガスキー

美しき野獣のヒロシゲキガスキーのレビュー・感想・評価

美しき野獣(2005年製作の映画)
2.5
刑務所帰りの弟を惨殺された刑事と裏社会の大物を追う検事、ぶつかりあいながらもお互いを認め合い、巨悪に戦いを挑んで行く・・・

我々が韓国映画に求める物として、荒々しさ・残酷描写・アクション・カーチェイス・脚本の妥協の無さ・役者の演技力・・等がありますが、
この映画は、その点ではかなりクリアしている。

ところが、もうひとつ心を揺さぶられない。

「目的は違うものの、同じ標的を狙う二人が手を結ぶバディムービー」
にしてしまえば単純に面白かったのに、そうはしていない。
それはクォンサンウのスター映画だからに他ならない。
冒頭のカーチェイスは凄いし、暴力描写も妥協がない、クォンサンウはスタントを使わずアクションもこなす・・

我々が韓国映画に求めるものは、ほぼ入っているにも関わらずもうひとつなのは、我々が韓国映画に求めていないものまで入っているからではないだろうか?

それはつまりクォンサンウを格好良く見せよう見せようと言うのが、過剰なんじゃないか?
つまりこの映画の中に、あの「韓流ブーム」の臭いを感じ取ってしまったから。
「今までのクォンサンウとは違うワイルドな一面」という物を表現したい余り、不自然な汚れメイク、オーバーアクトにつながってしまったんではないか?
逆もまた真なりで、画面に紗を掛けたりライトで皺を飛ばしたりするのとやってる事は同じなわけです。


韓国人俳優の演技スキルの高さには驚かされる事が多いのだが、クォンサンウという例外も有るという事にも気付かされる作品でした。