ヒロシゲキガスキー

スノーピアサーのヒロシゲキガスキーのレビュー・感想・評価

スノーピアサー(2013年製作の映画)
4.0
ずっと見たかった「スノーピアサー」をやっと見た。

ポンジュノ監督の長編映画としては5作目に当たる作品なわけですが、
ひとつ大きな勘違いをしていました。

というのも、出演者が・・

クリスエヴァンス(キャプテンアメリカ)
ティルダスウィントン(グランドブタペストホテル)
エドハリス(アポロ13)
ジョンハート(ミッドナイトクロス!エイリアン!エレファントマン!)
ジェイミーベル(リトルダンサー)

なもんで、てっきりポンジュノが「ハリウッドで撮った」と思っていましたが、これ韓国映画なんですね。
かなり外資も入ってますが、韓国映画です。
言われなきゃ、普通にハリウッド産ディストピアSFアクション映画だと思っちゃうレベルです。
予算と状況次第ではハリウッドレベルの作品さえも、韓国は作れてしまうんだな・・と。

さて本編ですが、私はすこぶる楽しめました。

この作品の設定自体に入り込めない人が多い事に、まず驚きましたが。

氷河期になってしまった地球を走り続ける永久機関を持つ列車、「スノーピアサー」は前方車両に裕福な富裕層、後部車両には貧困層と、階層分けされている。
富裕層によって支配され、劣悪な環境を強いられている貧困層はカーティス(クリスエヴァンス)をリーダーに、人間の尊厳を取り戻す革命に打って出るのであった・・・

低評価の方の意見としては、設定に無理がある、あり得ない、等々・・

映画にはリアリティ重視のピリピリした緊張感のサスペンスもあれば、ファンタジー映画もあり、いわゆるアメコミ映画もあったり、事実を元にした映画もあったり、身近な小さな幸せを扱ったような小品の映画もある。

作品によって、見る側はリテラシーを変えるものではないんでしょうか?
つまり、ファンタジー映画と麻薬カルテルを扱った映画では、リアリティの基準が違うでしょ?

本作品の様な近未来ディストピアSF映画に、いちいちツッコミ入れてたら面白いわけがない。
元々こういうジャンルと相性が良くないって言うだけの話です・・。

見始めてかなり早い段階で「未来世紀ブラジル」の影響に気づきました。
原作はフランスのコミックスですが、ビジュアル面に強い影響を感じました、特に富裕層の描き方がテリーギリアムっぽいなぁ、と。
だってジョンハートの役名が・・(笑)

気になったのがプロテインブロックで、羊羹の様でもあり、こんにゃくの様でもあり、私は「ソイレントグリーン」を思い出しましが、原料に関しては見てのお楽しみ。

話は簡単、後部車両から前方車両へ突き進むだけ。

列車のセキュリティを設計した、ミンスを演ずるソンガンホの存在感も素晴らしい。
「顔力」で有名どころの役者陣に負けていない。
娘のヨナを演ずるのは「グエムル」でも娘役だったコアソンで、ちょっと嬉しかったな。

列車内という限られた空間でのアクションも、良い意味での窮屈感があり、かなりリアリティあったんじゃないでしょうか?
手斧の連中が山ほど居た時の怖さと、前回の暴動で尽きたはずの****が実は・・とかね。

最後のウィルフォード(エドハリス)の車両の扉のシーンが印象深い。
列車の外に出る扉と、エンジンの車両に入る扉があり、外に出たいミンスと次の車両に入りたいカーティスがいる。

ここ、けっこう重要なシーンだと思うんだけど、見てる時はあんまり引っかからなかったな。
この後もいくつかドラマが用意されてるもんだから、流れの一つとして見ちゃったんだな・・

ラストシーンの解釈・・あれは、****のせいで人類滅亡って解釈も出来るけど、明るい希望と捉えた方が気持ち良いかな?

映画の解釈は人それぞれという事で・・・