fujisan

REBEL MOON ー パート1: 炎の子のfujisanのレビュー・感想・評価

REBEL MOON ー パート1: 炎の子(2023年製作の映画)
3.0
『年末年始向けの贅沢なパーティー映画』

ザック・スナイダー監督による、制作費1億ドルを超える、壮大なオリジナルストーリーのSF作品。

NETFLIXオリジナル映画で、12/22に配信開始された年末の目玉映画の一つ。来年4月にパート2を、また小説やコミック、ゲームやアニメなど、様々なメディアに展開していく、NETFLIXにとっても重要な作品のようです。

個人的には、古い作品ですが、当時のアメリカを鋭く批判したザック・スナイダー版「ウォッチメン」がとても面白かったので、本作も配信開始を待っていた作品でした。


■ ストーリー

スペースオペラといえば、「スターウォーズ」。本作もスターウォーズ”的”な世界観の中、辺境の星で静かに暮らす女性、コラを主人公に物語が進みます。

圧倒的な力を持つ巨大な銀河帝国に支配されている世界で目立たぬように静かに暮らすコラでしたが、彼女には帝国側で軍を率いていた過去があるのでした。

そんな中、辺境の星にまで残虐な支配が及ぶにいたり、ついにコラは再び銃を取り、帝国を倒すために仲間を集めて立ち上がるのでした・・・という物語です。


全二作のうちの本作パート1では、帝国を倒すために色々な星を回り、個性的な仲間たちを集めていく話。

ザック・スナイダー自身がインタビューで『宇宙版 七人の侍を作りたかった』と言っているだけあって、それをそのまま想像してもらえばいいかなと思います(ある意味、鬼を倒すために仲間を集める桃太郎的な)

PG13+止まりの作品だけあって、ザック・スナイダーが「ウォッチメン」で見せたような大人向けエログロ要素は一切なし。また、現代風刺的な大人的要素やポリコレ的要素もなく、『友情・努力・勝利』が三大原則の、少年ジャンプ的なストーリーでした。

複雑な世界観も登場人物がセリフですべて説明してくれるので分かりやすく、スターウォーズ世代の親御さんが子どもと一緒に見るといいですよ、みたいな映画なのかもしれません。


■ 映画について

監督自身がインタビュー(*)で、『この映画は、僕の映画言語や美学を育ててくれたあらゆる作品へのラブレター』というだけあって、映画の全編に渡って、『あ、これ見たことある』が連続する映画でした。

監督自身が挙げている「スターウォーズ」、「ブレードランナー」、「エイリアン」、「エクスカリバー」をはじめ、「宇宙戦艦ヤマト」、「キャプテン・ハーロック」、「マトリックス」など、オマージュのオンパレード。

キャラクターも、スターウォーズのハン・ソロ的な男やC3P0的なアンドロイド、マッドマックスのフュリオサ的なメイクをしている女性がいたり、なんなら武器としてライトセーバー的なものがあったりと、ここまで来たらもう、むしろ、『どうだ!全部入れたったで』みたいな妙な意気込みを感じました😅

めぐる星も荒野の決闘のような西部劇風の星があり、それこそ「スターウォーズ」が基にした黒澤明の「隠し砦の三悪人」的な星、日本の白川郷を思わせるような山あいの集落など、ロードムービー的にも楽しく観ることができました。

巨額な制作費をかけただけあって最新の映像技術で創り上げられた映像は素晴らしいので、年末年始で見るテレビ番組も無い時に軽く見ることが出来る映画として良いのかも。


■ さいごに

ある意味、パート2のエンディングも想像できる中、どこまで意外性のある映像で魅せることができるかに掛かっていそう。

二作目を見るかどうかは、皆さんのレビューも拝見して決めようかなと思いますが、最近、”余白多すぎ映画”、”見てる人に解釈丸投げ映画”が多い中、少し昔の映画を見ているような分かりやすさ・楽しさがある映画でした。


■ 参考

ザック・スナイダー監督 インタビュー 『REBEL MOON — パート1: 炎の子』原点回帰、映画青年の夢の続き - otocoto | こだわりの映画エンタメサイト
https://otocoto.jp/interview/rebelmoon1222_01/

New Images from Zack Snyder's Sci-Fi Adventure 'Rebel Moon' :「スター・ウォーズ」の原点の故黒澤明監督に捧げる「宇宙の七人の侍」の Netflix の超大作「レベル・ムーン」はどうして、ディズニー・ルーカスフィルムに採用されなかったのか ? ! のわけを、ザック・スナイダー監督が語ってくれた ! ! - CIA Movie News
https://www.ciamovienews.com/2023/07/RebelMoon-ZackSnyder-Kurosawa.html




2023年 Mark!した映画:360本
うち、4以上を付けたのは41本 → プロフィールに書きました
fujisan

fujisan