太った容姿のためクラスメイトからいじめられているサラが、プールの帰り道、そのクラスメイトが謎の男に連れ去られるのを目撃するが、逃げ帰ってしまう。その後地元で騒ぎになる中、どうすべきかというお話。
カット単位で観ると容姿を生かした設定やシチュエーションとしては良いと感じる部分はあるのですが、シーンとシーン、カットとカットのつなぎが位置関係を混乱させる場面が散見されていて、素直に楽しめない感じが残りました。
主人公が内向的な性格ゆえに、あまり饒舌ではないため台詞が少なく、仕草や動作で伝えなければならないのですが、例えば部屋から部屋への移動、謎の男に見つからないように隠れるとか、どのように観客側に空間把握をさせるかという意味で、カット割りにもう少し考慮すべきところが中盤以降徳に多かったと思いました。
なので、主人公がどのようなプロセスを経て、ラストシーンに辿り着くかについても、１つ１つのシーンの積み重ねを妨げるように途中の混乱が、心情の揺れを理解、主人公に寄り添ったり、応援したくなるような気持ちにもなりにくく、物足りなさを感じてしまいました。
そもそも、長編としてはエピソードの積み上げが薄く、親子以外の登場人物の関係性の見せ方も場当たり的なところも多くあり、微細な説得力に欠ける描写も目立ちました。
