ショートフィルムは基本あまり観ないし、観てもレビューしないことがあるけど、これは残しておきたくて。

少し前に観たHOW TO HAVE SEXのMolly Manning Walker監督のショートフィルム。

どちらの作品も『同意のないセックス』がテーマなんだけど、作品の雰囲気が全然違うのでこの監督に俄然興味が湧いた。

エンパイア・オブ・ライトに出てたマイケル・ウォードが出てた。この人やっぱカッコいいな。短い作品だけど余韻の残る終わり方でした。

ロンドンの女性撮影監督Molly Manning Walkerの監督デビュー作となる短篇。

16歳にして性的暴行の被害者となった少女エイミー。
サッカーの事しか考えてない彼氏や、警察やサポート機関の複数の大人たちとのやり取りを通じて、彼女の苦しみを本当に理解してくれる人・助けとなる人が存在しない中、自身のトラウマと向き合う彼女の心情を緊迫感のある音と映像で描き出す素晴らしい短編。エンディングも秀逸。

邦題『アンスピーカブル（unspeakable）』≒ 言葉で表せない/言うに耐えない
原題『Good Thanks, You? 』≒「大丈夫よありがとう。あなたは？」という日常的なこのフレーズが本作で出てくるわけではありませんが、表面的な言葉のやり取りに隠れた本音を分かってくれる他者は存在しない的な意図でしょうか。

ある事件に巻き込まれてしまった少女が事の詳細を誰にも言えず黙り込むお話

『How to Have Sex』の監督のデビュー短編映画。
『How to Have Sex』は曖昧な性的合意の問題と複雑な心情にフォーカスを当てて描いていたが、本作は性被害の「その後」を描いているのが印象深い。
性被害に遭った少女の当事者視点に立ち、被害の詳細を伝えることの難しさを描く。伝えるための心理的ハードルと周囲の大人による無理解、「話さなければ」という周囲の圧力によって被害者である少女は心理的な面からも責められる。そして彼女に直接向き合わず性的欲求を満たそうとする彼氏の姿。
伝えることの困難さとどうしようもない不安が16分間の中で強烈に描かれており、あまり語られない当事者による「その後」の複雑な心情と周囲の圧力を描き出したというだけでも意義のある作品。

つまり「向かい合う」ことが正解なのだろうか。

• #MUBI