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LOVE LIFEのmmmのレビュー・感想・評価

LOVE LIFE(2022年製作の映画)
4.1
矢野顕子さんの曲からインスピレーションを
受け、長い構想期間を経て制作された作品。


深田監督というと、人間の隠しておきたい
本質的な部分を、淡々と炙り出して
いくようなイメージがありますが、
それは本作も健在

妙子(木村文乃)、息子・敬太、
再婚した夫・二郎(永山絢斗)
二郎の両親、元夫、二郎の元恋人

とある出来事をきっかけに、
周囲の人との関係性や距離が
静かに変わっていくさまにリアリティを
感じた。

映画だと分かっていても、目の前で
起こっていくことに、いたたまれない
気持ちが押し寄せる2時間だったなぁ。

言葉にするのを躊躇ったり、
言葉にしても伝われなかったり、
少しの気遣いがほしいところで、
明け透けの本音が出てしまったり
近い存在だからといって、
すべてを共有できるということはなく
それをスクリーンを通して追体験してしまうので
なんとももどかしく苦しい気持ち。

でも、同じエピソードではないとしても
生きていくことは、その連続なのかもしれない。

ラストの展開は、主観が入ると意外でしたが、
あれは愛なのか、生活なのか、その両方か。
愛も生活も“赦し”なのかもなぁ
特に相手がいることは。

ベランダでのお義母さん(神野三鈴)の
言葉を思い出し、なんだかそんな気がした。


◆独り言
設定やエピソード、話運びが
本当に細やかだなぁと。

感情的じゃないけど、「嗚呼…」って
思うことが多くて
何度も心の中で唱えてました。

「えー!私なら〇〇」と思って見ていると、
受け入れがたいエピソードが多かったり、
みんな奔放にみえたりするけど、
あの人は私(自分)ではないので、
否定するのは簡単だけど
あの人の気持ちも分かるわけがないんだよなぁ。

…そんな分かり合えないことや孤独は、
なんとなく掴めるのだけど
そのうえで向き合う愛とか生活は、
未だによく分からないんだなぁ。
2人の選択は凄いと思ったし
深田監督、こんなホン書くんですね!?って
思ってしまいました。

「LOVE LIFE」は歌詞は全体的に寛容であり
数年後に発表してる「ひとつだけ」では、
寛容さに、ちょっとエゴイスティックな
面が加わったり…
創作されたものだけど、やっぱり人の気持ちは
いつまでも同じじゃないんだな
と読み比べてしみじみ…
mmm

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