とにかく圧倒的で明くる日にもう一回同じ劇場で同じ席で見ました。まあ、そういうことが叶うくらいの興行成績でもあるのですが…。
1回目は平日夜回5名、2日目は同じく平日夜回17名。シネコン向きではなかったかも、でも大きなスクリーンで目線真正面で二晩続けて見ることができた幸せに感謝。
地震（そういえば3日ほど後で見た『川っぺりムコリッタ』も）、手話、韓国…。
初めは深田さん濱口さんに喧嘩売ってるのかとびっくりしましたが、いやいや『寝ても覚めても』や『ドライブマイカー』を軽やかに止揚した傑作でした。
行方知らずの前夫との子を持つ女、その女を職業上の経緯（彼は役所の福祉課の人）からフォローする過程で恋人を捨てて新たな家族を作ろうとする男。
前夫、元カノ、ヘタレ市役所職員男の両親。四角関係＋親離れ子離れ不全の最低な連中のドタバタが、ドタバタらしく誠実に描かれる喜劇と悲劇のミラーボール…。
結果的に、破壊的に騙されることになっちゃった、前夫について行った韓国で遭遇する悲劇（そう爆笑ものの悲劇！）に追い討ちをかける突然の大雨。そこでゆらゆらと左右に肩を揺らし踊り出してしまう（しまわざるを得ない）ヒロインの哀しき阿呆ぶりが堪りません。
当初の脚本とは違った形になったというラストの二人の「散歩」。付かず離れず感がとても良い。いや、多分二人はこの先ずっと「付か」ないだろうな、『寝ても覚めても』で増水した川の流れを見つめながら、決して互いの視線を合わせることのないあの二人のように。
ところで話は違いますが、郵便配達の二ノ宮隆太郎さん、最高ですな。本来、隆太郎さんには映画を作ってもらいたいけど、江口のりこさんともどもずっと今のスタンスで役者もやっていただきたい！
