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LOVE LIFEのCOLORofCINEMAのレビュー・感想・評価

LOVE LIFE(2022年製作の映画)
4.8
※Memo1
●予備知識ほとんどなしで見たのがよかった。ど、どこへ向かうの?着地するの?えっ!そっち?と揺れる揺れる。しかし、その気持ちはそれぞれの登場人物も同じ。だって実人生にもシナリオなんてないんだもの。その時々の選択はその一瞬のもの。
●何を考えてるのか、わからないという人が多くいるのは、あたりまえのことで、そりゃあ自分でもわからない時があるのだから。妙子の理解されにくさは鑑賞後、時間が経つほどにじわりきてる。踊るしかないよね。ツーステップ。木村文乃さんベスト。
あと、全編通して湿気がないのがいいなぁ。もしジト~としてたら、この話は耐えられないかも。だからこそ、いろいろ痛いけど、鑑賞後にしばらくして、あー、また見たいなという気持ちになれる。ほんのちょっぴりの再起動。
●感情移入ができない。共感できない。何を考えてるのかわからない(旧世代の両親は少しにじみ出ているが。故に母親のやり場のない揺れ)。そういった登場人物で構成された素晴らしい映画。会話劇の「切り返し」が飽きてきてるので「新しい話法」の作品が好き。
それは、おそらくコロナ禍を挟んで変節し始めているのかとも思う。踊るしかない。ツーステップ。

※Memo2
●クシシュトフ・キェシロフスキ監督の「あの作品」を想起した。チラチラとした、幾つかのあのショットは100%好み。そういえば同じヴェネツィア映画祭に出てる『ある男』石川慶監督の前3作品の撮影がポーランドのピオトル・ニエミイスキだったりするのも「ある偶然」?
●まだ感想まとまらないけど見終わった直後に思ったのは吉田拓郎さんの『ファミリー』歌詞のこと。My familyと歌いながら「ひとつになれないお互いの」「一人であることに 変わりなし」と続く。あるいは作詞は違うが『望みを捨てろ』の「ひとりになれない ひとりだから」「最後はいやでも ひとりだから」「ふたりになりたい ひとりだから」。映画で描かれた孤独が妙な形で沁みてくる。
●『LOVE LIFE』は深田晃司監督の映画で初めてピッタリ合った。「よこがお」がちょっとよくて「本気のしるし」がおぉっという感じぐらいの雑な映画ファンですから。と、なるとおそらく逆に本作合わなかった人もいると推測。
●文學界10月号の小特集。監督と西森路代さんとの対談(12P)。宮崎駿監督『風立ちぬ』の話も出てきて、ここで語られる矛盾については本作の捉えどころの難しさを表していて腑に落ちることしきり。対談のタイトル「感情のプロパガンダにどう向き合うか」
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