ヘビメタおやじ

かがみの孤城のヘビメタおやじのレビュー・感想・評価

かがみの孤城(2022年製作の映画)
3.5
2207本目。原作は読んでいますが、世評に反してあまり感心しませんでした。「舟を編む」もそうでしたが、文章が薄く感じてしまうのです。しかし、アニメーションになると、作品世界がくっきりして面白く見られました。学校に行けない中学生七人が、孤立した城に集められる。そこで狼の仮面の少女から、城で鍵を見つければ望みが叶うと告げられるという話です。いじめのリアルな実態も描かれて、テーマは重いです。しかし、こんなにもメディアによって作品の印象が変わることに、今更ながら驚いています。それぞれの人物が抱えている問題も、説明調の文章よりもアニメーションのほうがすっきり伝わりました。現実の厳しい問題を昇華させてファンタジーとして描くことは素晴らしいことですが、この作品はファンタジーが単なる手段になってしまっているようで、そこが引っ掛かっていたのだと、アニメで見てわかりました。大きな世界観はないものの、細かい設定がよく考えられているので、作品としては面白かったです。