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海中部隊シールチームのLCのレビュー・感想・評価

海中部隊シールチーム(2021年製作の映画)
3.8
楽しかった。

私でも見られそうなサメ映画かなあと思ったら、見られるどころか、クスクス笑いながら時間を過ごせる、魅力ある作品だった。

SEAL Team は、米海軍の特殊部隊を意識した名前だろうかと思う。
「 Sea, Air and Land (海、空、陸)のどんな環境でも作戦を遂行できる」ことを示す名前だけれど、作中でサメさんが「海中か陸上か、どっちかにしてよ」みたいな愚痴を言うところで笑ってしまった。
その他、Seal は鰭脚類(ヒレアシルイ)のことも指す言葉なので、アザラシをはじめとした各キャラクターたち自身のことと上手に言葉をかけているのだろう。
そして、これは私個人の思い付きだが、シールズという響きが S.H.I.E.L.D という言葉を思い出させる。マーベルの世界で、ヒーローと共闘する組織。私は詳しくないのだけれど、作中で見られる様々なガジェットは、もしかしてマーベルっぽさもあったりするのかな。
そして、単純に Shield は盾という意味を持つ言葉でもある。主人公たちは、鰭脚類である仲間 ( Seals )を守る為に、共に戦う仲間とそれぞれが盾 ( Shields )の役目を果たしながら、団結してサメに立ち向かう。

冒頭は、ある意味でのんびりと見てしまう。
魚を追いかけて、サメのいる海域へ行… いやいや危ないよ、でも行く!と仲良く泳ぐ2匹組が、まあ… やっぱりサメには敵わないよなあ… やり返したくても「それはバカ」と言われるし… さてどうするか… と展開される、この流れは、ちょっとテンポ的には遅く感じる瞬間もある。
でも、その後は飽きずに終盤まで駆け抜けられる。たぶん、エンジンかかるのが遅いタイプ。私と同じだな。

プランクトンを食べるサメさん( Basking shark )は、世界で2番目に大きな魚と言われているみたい。1番は Whale shark という、やはりサメ。
彼は、サメにも色々いるんだよーと語るが、彼の種はタマゴを産む(産卵する)サメであるのに対して、胎内で胎児を育てる(胎生する)サメもいるんだよね。でも流石に、レーザーシャークは… いるか、マーベルに。いるのか…

食べられる者たちが、食べる者たちに立ち向かう。
確かに、食物連鎖の視点で見ればその関係は疑いようもないのだけれど、海に住む生き物同士という視点で見ることもできる。
追い詰め、怯えさせるサメたちに、同じ生き物として立ち向かう姿勢は、少し「先住民と入植者」という、人間の持つ歴史の中で今も見られる構図も思い出させる。
この作品は南アフリカの作品と知ると、そのような視点を持つことはあながち的外れとも言い難い気もしてくる。南アフリカは、アパルトヘイト(人種隔離政策)を経験した国だから。
例えば、白人とその他の人種で、足を踏み入れられる場所が違ったりしたのだけれど、作中で「そっちはサメの場所」と仲間を引き留める者がいたりする。
でも、足を踏み入れなければ、美味しいイワシにありつけない。支配者がどれだけ自分たちに対して残酷だろうとも、自分たちも食べなければ生きていけない。

それにしても、タコのスーツは面白かった。
景色に溶け込むこともできるけれど、暗闇で七色に光りながら踊ってみても面白そう。音楽は勿論、ベイビーシャークで。
エビはちょっと… 威力が大き過ぎるよ… 撃つ方もタダでは済まなさそうだよ… 貝殻爆弾くらいがいいかな。いや危ないか、威力ちゃんとありそうだもんなあ。
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