さかなのこのSRKENのネタバレレビュー・内容・結末

　ホンワカの中に強烈なメッセージ。まさに沖田修一監督らしい作品。こんなに笑える映画ってなかなかないのに内容も深い。
　見終わって思ったのが横道世之介っぽいなあというものだった。不器用ながら愛される主人公に影響されていく周りの人々をかいている感じが似てると思った。
　色々言われている のんさん の演技だが、初めて出てきた時は正直違和感が凄かった。まあさかなクンの演技なんて世界中誰も上手くできんやろうなぁと思ってたら、段々と違和感なく見れてきて、ラストのテレビ出演のまさに さかなクン の演技はモノマネでやりやすかったのかもしれないがまさに本物であった。役作りを頑張ったと言うのが分かってこの作品の良さを引き立たせる要因だったと思う。

　不器用さ(発達障害っぽい)にて生きづらさを抱えた主人公のそれを逆に強みと肯定する母親。辛さを描きながらも「好き」を突き通し、真っ直ぐな感性にて周りの人も否定しない主人公に、周りの人や観客も惹かれていく様子を上手く描いていると思った。
　本作品で最大に凄いのが、本物の さかなクン が出てくる事だと思った。演じてる ギョギョおじさん は魚が大好きで真っ直ぐな人なのだが、まさに主人公 ミー坊 と同じで、ギョギョおじさん は変質者扱いで警察に連れて行かれるのだ。ミー坊(本物のさかなクン)は社会的に成功するのだが、どちらにも成り得るという事を、本人が演じるとは観ていて震えた。
　色々な生きづらさを抱えるこの現代社会にて、際物として さかなクン を見て笑っている人に強烈なメッセージと感じた。ただ純粋とか言うのでなく人間の中の大切なものをホワっと描く沖田監督の過激さを垣間見た気がした。