慶州、福岡、そして今回は柳川。
朝鮮族ルーツの監督さんは韓国語、中国語、日本語を綯交ぜにしながら脱国境的に話を進める。
とはいえ、その柳川は寂れ切った「東洋のヴェニス」と表現されるだけで、伝習館裁判がまるで触れられないのはどうしたことなのだろう? 中野良子さん(彼女のお芝居は滋味深く十分に酔わせていただいたのだけれど)は土地の人役ではないので当然として、古くからの家を引き継いだ池松さんに、その辺りの屈託がまるで見られなかったのはよくわからない。
なんで舞台が柳川なのか…。ミューズの名前の漢字表記がそれだから、だけではあまりに易きに流れてはいないかしら。
決して嫌いな映画ではないけれど、チャン・リュルさんのこのテイストにも、少し手垢がついてきたように思います。