このレビューはネタバレを含みます
エンタメとしてよく出来ていたけど、エンタメとして作り込みすぎていたのが裏目に出た気もした。テロにせよウイルスにせよ上手くエンタメしてるので、着陸したらウイルスが地上に…ということで着陸反対デモが起きたところで、でもこの映画なら最後に危険な着陸に挑戦するシークエンスはやるだろうな、みたいな。
あとアメリカが着陸拒否するのは「シン・ゴジラ」でもそうだが、結局アジア諸国はアメリカのことなんて信用してないよなあと思ったり。実際ウクライナであの始末だし。
日本の着陸拒否は、それ自体は責められない正しい反応だと言いながら自衛隊機を悪魔のように描くのはこれぞ正しいプロパガンダ！と思いました。それについての賛否はあるでしょうけど、映画の手法として巧かったです。
が、日本には常識と知性があるからあのような威嚇射撃に打って出たのだ、とこの映画の作り手はしていましたけど、今の日本政府にはないぞそんな常識も知性も。とりあえず着陸させてその後どうするか2週間くらい検討を加速させてる間に乗客全員生殺しっていう最悪の手段を取ると思う。ダイヤモンド・プリンセスの時より確実に馬鹿な国になってるから。
んーあと、抗ウイルス剤の効果が確認できたから国民の意思がひとつにまとまって無事着陸できたというラストも、良くも悪くもエンタメしてるよね。いやそれで良いんですけど、この腐った現実に対するカウンターとしては弱いかなって。結局いつも通りソン・ガンホが身体張っただけじゃんって。ソン・ガンホパワーがなければどうにもならない世界なら滅びても仕方ないよ。だから滅びに向かってるんだろうけど。助けてソン・ガンホ！
その他イ・ビョンホン、チョン・ドヨンなどやり過ぎなくらい豪華キャストが揃っていますがMVPはテロリスト役のイム・シワン。言動が全部不気味で不快だわ犯行動機は明かされないわ蓋を開けてみれば超絶迷惑の自殺でしかないわ皆かパニックに陥っている時にはもう死んでるわで何もかもが最悪の名演技だった。
あと一個、音響凄かったと思います！
