グラビティボルト

劇場版 Gのレコンギスタ V 死線を越えてのグラビティボルトのレビュー・感想・評価

4.5
2022年ベストサブタイトル映画。
死線を超えた登場人物達の眼前に広がるのが、観客も共有し得る「今、踏みしめている地球」の美しさだとは思わなかった。
ラストショット、あの満点の星空(魚眼?新鮮なルックだった)が本当に雄弁で、思わず旅に出たくなる力がある。
ただ、そこに行ってみたいという光景を提示する事。
これが人をここまで外へ駆り立てるのか。

あと、「接触回線」という通信の設定が、少年を絶対に気持ち良い孤独に閉じ込めない。
自分では感情を処理出来ない死や悲劇に向き合って、顔を伏せそうになると少年を愛する者達がMSで騒々しく、圧倒的にぶつかってくるので、常に暴力的にコミュニケーションを強制される。
「どうして僕にみんな構うんだよ!」なんて青春文学(エヴァをdisる訳じゃないけど)にGは囚われないし、塞ぎ込ませてやらないし、放っといてもあげない。
ラストだって、絶対にベルリ・ゼナムを独りにしてやらないという暴力的な愛の宣言みたいでシビれた。
皆お前に守ってほしいし、皆お前を守りたいんだ。
複雑な勢力図も含めて、何処までも外に解き放たれた映画だった。
他人や外気に触れないと、世界と関わる事は出来ない。
字面にすると単なる説教になるから、観てくれ。