グラビティボルト

リンダはチキンがたべたい!のグラビティボルトのレビュー・感想・評価

4.2
問答無用の今年ベスト。
「一人一色」のカラーで彩られたアニメーションは本作の武器、個性である事は間違いないが、同時に小さな女の子の
「チキンが食べたい!」という願いが
親、親戚、友達、警官を巻き込んだアクション活劇になって、最後には防護服を身に纏った警官隊まで出動する「闘争」の活劇に変化していく喜びと驚きが凄い。
序盤、養鶏場で鶏を強奪してから、警官から逃げる逃亡劇は横のアクションが活き活きしていて、特に自転車の警察官が走り続けるトラックに追いつくというアニメの嘘が楽しい。
色々あって団地に逃げ込んで以降は、団地の中と中庭を繋いだ縦の活劇が楽しい。

母親を煩わせる要素でしか無かった冒頭の水漏れが、ラストで涙をイメージさせるものあるいは、上階に「居る」父親とリンダを接続するものとして降ってくるという語りの妙、アニメならではの飛躍も見事。
滅茶苦茶面白かった。