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MEMORY メモリーのMrOwlのレビュー・感想・評価

MEMORY メモリー(2022年製作の映画)
4.0
人物の深掘りはさほどですが、テキサス州とメキシコについて知識があると楽しめる作品です。自身の信念に反する依頼を放棄した老齢の殺し屋が、人身売買組織が関与する陰謀に巻き込まれていきます。殺し屋自身、高齢のためアルツハイマー病の影響も受けていて、自身の信じる正義を行おうとしますが・・・という物語です。本作のメガホンを取るのは「007 ゴールデンアイ G」「007 カジノ・ロワイヤル 」「ザ・フォーリナー/復讐者」などのマーティン・キャンベル監督です。それほど多作な監督さんではありませんが、2000年以降は、バーティカル・リミット、レジェンド・オブ・ゾロ、007カジノ・ロワイヤル、グリーン・ランタン、ザ・フォーリナー、マーベラス、本作のメモリーと良作を撮っていますね。本作の主演は96時間シリーズで一躍「強いオヤジ」の地位を確立したリーアム・ニーソンです。シンドラーのリスト、バットマンビギンズ、ナルニア国物語のアスラン王(声の出演)、タイタンの戦い、アンノウン、サード・パーソン、スター・ウォーズシリーズなど出演作多数の渋い役者さんです。マークスマンでは随分お爺ちゃんになったな、と感じましたが、本作でも老練な殺し屋でしかもアルツハイマー病に苦しみながらも信念の裁きを行おうとする男を熱演しています。共演はLAコンフィデンシャル、メメント、タイムマシン、プロメテウスなどのガイ・ピアース、オン・ザ・ミルキー・ロード、ドーベルマン、ジェヴォーダンの獣、などで知られるモニカ・ベルッチです。個人的にはリーアム・ニーソン、ガイ・ピアースの共演も良かったのに加え、ガイ・ピアース率いるFBI捜査官チームのインド系女優のタージ アトワル、メキシコの熱い警察官を演じたハロルド・トーレスという若手の俳優さんが良かったです。
殺し屋にスポットが当たった作品は近年割りと多く制作されている印象で、ストーリー展開なども少し読めてしまう部分もあるのですが、本作は予告編から想像していた展開とはいい意味で異なるストーリーになっていましたのでその点でも楽しめました。また、本作の舞台はアメリカ合衆国ですが、テキサス州というメキシコと国境を接していて、不法移民の問題が深刻な州であることやメキシコは麻薬組織カルテルの力が強く、治安が非常に悪い国であり、未成年の子どもたちを含めた人身売買の闇もある、という点や、巨大な企業は政治にも影響力を持つ、というような多少の予備知識があると、ストーリー展開にリアリティを感じることができ、より楽しめるのではないかと思いました。
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