次郎

目指せメタルロードの次郎のレビュー・感想・評価

目指せメタルロード(2022年製作の映画)
4.0
本物の「ぼっち」はなぁ…「ロック」じゃなくて「メタル」を演るんだけよ!掻き鳴らせ!俺たちの!!ぼっち・ざ・メタルロード!!!
という時期的な流行りや邦題の微妙なセンスに突っ込みつつも映画としては普通に面白くて、クレジット確認したら脚本は『ゲーム・オブ・スローンズ』を手掛けたD・B・ワイス、音楽プロデューサーにはRage Against The Mashineのトム・モレロ先生と超納得の人選。メタリックなリフにチェロの旋律が絡み付く本作オリジナル曲「拷問マシーン」のタイトルセンスとイントロのカッコ良さだけで丼飯3杯は固い。

内気だった少年が音楽を通じて恋や友情を経験し、バンド・コンテストで優勝を目指す…というあらすじは王道かつ平面的だけど、主人公であるケビンの成長譚はあっさり目に流して視聴者へのストレスを抑えつつ、兄貴分であるハンターの抱える父子家庭の居心地の悪さやセクシュアリティの問題により焦点が当たっているのが現代的に感じた。精神安定剤を常用するエミリーについてはもう少し踏み込んでもいいと思いつつも、そこまでやると時間が足りぬという悩ましさ。
ライバル・バンドも普通にいい奴なんだけど、エド・シーランのshape of youをカバーしている辺り絶妙にイラッとさせるポイントで笑う。選曲チョイスもサバスやプリーストといったクラシックからマストドンの様な最近なバンドまできちんと抑えられているし、レジェンド達のカメオ出演もメタル好きならテンション上がりながらも「そのタイミングで!?」というツッコミ感あるシーンで爆笑した。21世紀のメタルは純情(ピュア)なんだよ
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