次郎

さくらももこワールド ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌の次郎のレビュー・感想・評価

4.3
30年もの間廃盤になっていた作品がまさかの復刻・サブスク化という話は聞いていたけど、こんなにも振り切れた作品だったとは!!タイトル通り歌が主要なテーマとなっているけど、本筋とは関係なく挿入される楽曲とその映像が凄まじく、ジャンルと時代を越境したとんでもない内容になっていた。
OPから流れる大瀧詠一『1969年のドラッグ・レース』のサイケなPV感からして尋常でなく、湯浅政明によるイメージの爆発からして必見。それ以上に衝撃なのは花輪君が好きな曲として挙げてくるインドネシアの歌謡曲・ダンドゥットというチョイスで、『ダンドゥット・レゲエ』の曲内で分身した花輪君が万華鏡の様な曼荼羅に絡め取られる映像については「これって違法な薬物を摂取している時に脳内で流れるタイプのもので、間違っても家族向け映画で流してはいけないのでは、、」と不安な気持ちで居た堪れなくなってしまった。
朝ドラでも有名になった笠置シヅ子『買い物ブギ』やたま『星を食べる』といった曲のチョイスもいいけど、個人的に最高だったのがビートルズパロディの『B級ダンシング』。楽曲だけでなく映像まで初期ビートルズの再現であり、ジョン役のガニ股気味のスタンス、ポール役のベースはもちろん左利き用、ジョージ役が少し背が低いところまで再現する演奏シーンの徹底具合は笑ってしまった。
映画の物語としても途中までは悪くはなかったけど、終盤の展開についてはさすがに時代を感じるかなと。とはいえMVとしての凄さとセンスだけで十分にお釣りが来る、タイムレスな怪作。
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