次郎

特別編 響け!ユーフォニアム アンサンブルコンテストの次郎のレビュー・感想・評価

3.8
アニメ第3期前の導入として。前作の緊張感と性急さとは対象に、吹奏楽の世界を丁寧に描いた60分。それ故に物語としても動きは少なく演奏シーンも物足りない感はあるけども、吹奏楽の日常を微細に描いていると言う点では満足できるものであった。
特に印象的なのは久美子が他の部員を指導するシーンで、他のメンバーと演奏が合わない2人に、呼吸についてのアドバイスをするのは経験者として本当にそう!って思わず反応してしまった。そうそう、金管楽器って管がぐるぐるとして長い上、音の出る先が他の楽器と違う向きのせいで、意識的に早めに音を出さないと演奏が合わないんですよ。それは16分の1拍子に満たない誤差の話かもしれないけど、その差こそが演奏の良さを決める秘訣であることも確かなわけで。打楽器は逆に呼吸が不要だから他とタイミングが合わないという話を含め、吹奏楽という大人数の演奏を合わせることの難しさとそれを見抜く久美子の部長としての資質、両方を描いた素晴らしいシーンだった。1本の映画してみるより、アニメ3期のエピソード0として見直したい秀作。
次郎

次郎