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ザリガニの鳴くところのあんずのレビュー・感想・評価

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
4.0
ジャケ写から、ザリガニが沢山生息する沼で次々と変死体が発見されるホラーを勝手に想像してしまい、劇場鑑賞を逃した作品。湿地の自然や生物がとても美しく、スクリーンで観たかったなと後悔。原作は、2021年本屋大賞翻訳小説部門第1位、全世界1000万部突破、2019年・2020年アメリカで1番売れた本らしい。原作もいつか読んでみたい。

湿地で暮らす少女の人生は、自分で選んだというよりそうせざるを得なかったもの。湿地でしか生きられない故に差別を受ける一方で、街に暮らす女性にはない魅力で男性を惹き付けもする。その生き様は『市子』と重なる部分があるなと思った。

人間界の掟ではなく、自然界の掟に従って生きる主人公の生き方は真似は出来ないけれど憧れもするし、私たちは自分たちの作った掟や常識に縛られて本来の人間らしさを失っているような気がする。理性や思考も必要だけれど、もっと本能とか無意識とか感情を信じて生きることも大切かなと感じる今日この頃。それから、子どもはやっぱり親が、親が無理ならそれに代わる大人が、ちゃんと愛情を持って育てないといけない。それはどんな生物でもそうなんじゃないのかな。
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