IT企業に勤める青年が、香港のド田舎と呼ばれる地域に住む女性たちと知り合い、香港中を彷徨うラブコメ。見たことも聞いたこともない場所の景色が観られたのは嬉しかった。『深夜特急』を読んで以来、香港はいつか訪れたい場所の上位だったけれど、本の中の香港はもうどこにもないんだろうなと思うと寂しい。
今の香港の世相を反映しているんだと思うけれど、政治に疎い私には詳しいことは分からず。ただ、若い人たちが非常に生き辛いということは分かった。地価の高騰が凄まじく、香港の中心部に住むのは厳しい。でも、地方に暮らせば通勤が大変。なので、他の国への移住を考えている人が少なくない。それから、[子どもなんて産めるわけない。こんな希望のない国で]みたいな台詞が普通のやり取りの中で出て来て、我が国だけではないんだな～、少子化の深刻化はと。
それでも、人を好きになり、一緒に時を過ごしたいという気持ちは古今東西、万国共通。若者たちが未来に希望を抱けないなんて悲しすぎる。かつて若者だった大人たちは、自分たちの目指した社会になっていますか？
