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ザリガニの鳴くところのbutasuのネタバレレビュー・内容・結末

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

驚くほど可もなく不可もない映画だった。予想以上のことは何も起こらないし、観終わった後にも何も残らない。今の時代に改めてこんな何ということのない映画が評価されるんだなぁ、とちょっと置いてきぼりの気分。いかにも作り話です、といった都合の良い平凡なストーリーだが、主人公の女性が自分を貫いて強く生きる話は共感と喝采を呼ぶのでしょうな。女性観客が喜びそうなリアリティゼロのおとぎ話。

でもさすがに小屋で一人暮らしをしていてあんなに小綺麗で華やかな格好をしているのは嘘くさすぎない?外界に染まっていないピュアな女性を表現したかったのだろうが、それは内面の話でしょ。貝を獲って近所の小さい店に売る暮らしで、あそこまで何不自由ないもんかね。貝がそんなに潤沢にとれるならもっと大規模な業者が入りそうなものだけど。モーターボートにガンガン乗ってるけどそんなに儲かってんの?他の収入源についても何か設定しておかないとさすがに無理がありすぎるのだが、製作側も女性観客たちもそんなところには興味がないからいいのか。いつも女性向け作品は本当に経済の概念が消失している。

まぁあれくらい極端に主人公を魅力的に見せないと、女性観客の共感と喝采は得られないもんな。でもあそこまで見た目が綺麗なら、あの差別には繋がらなさそうだけどね。"湿地の娘"って汚くて臭い的な揶揄じゃん。あ、当然親切な近所の店の夫婦は黒人でした。ポリコレへの配慮は万全。

裁判では無罪になったが、結局主人公が男を殺していたというオチ。これも殺されたのがDV男だという点で、フェミニスト的にはオールオッケーなのだろう。普通に正当防衛ではない計画殺人だし、理由があろうと罪は罪だけどな。
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