ランドムR

ロストケアのランドムRのレビュー・感想・評価

ロストケア(2023年製作の映画)
3.3
介護負担を軽減するための殺害は倫理的に正しいのかどうか、検事と当事者が論争を行う。

非常に難しいテーマで、内容的には考えさせられるものであった。自立することはいいことだけど、必ずしも自立することが正しいわけではない。だから、誰かに頼って負担をかけることも認めるべきなんだけど、じゃあその負担は誰が担うのか。家族なのか、社会なのか。どちらも担ってくれなければ、犯罪に手を染めてでも、自分を救うことは許されても良いのではないか。そういうことが、様々なケースをもとに、取り調べや法廷などで議論される。

対話に多くの時間が使われ、主演の二人の感情が伝わる演技は非常に良かった。もちろん、ドラマ部分の演技も良かったわけではあるが。ただ、その対話シーンの見せ方がイマイチ下手だなと感じた。このストーリーは、松山ケンイチと長澤まさみの2人の距離感や立場がダイナミックに動くところにあると思うため、絵的にもそれは工夫してほしかった。なんか、対話シーンは見た目のカッコ良さだけが演出されていて、好きになれなかった。例えば、長澤まさみが4枚の鏡に映るシーンとか、カッコいいんだけど、何を示したいのかが全く理解できなかった。安全地帯の立場の議論で、二人にあてるライティングは、二人の立場の違いが絵的にも表現されていたから、そういうのが一貫して表現されていて欲しかったな。
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